野口啓代、五輪出場へ強い思いが原動力に/安間佐千

女子複合で2位となり、笑顔を見せる野口(左)(撮影・加藤諒)

<スポーツクライミング:世界選手権>◇20日◇東京・エスフォルタアリーナ八王子◇女子複合決勝

今大会ボルダリング銀メダルで20年東京オリンピック(五輪)での現役引退を表明している野口啓代(30=TEAM au)が日本勢最上位の2位に入り、東京五輪代表に内定した。

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野口選手はスピードで7位と出遅れましたが、他の選手と比較してもこの種目の自己記録は高くない。ある程度予想していたと思います。一方で2種目のボルダリングの第1課題は、トップ(頂点)周辺が、彼女が武器とする指の力と柔軟性を要求される設定で、1回で完登しました。これで勢いに乗りました。最後のリードは中盤で体が左右に振られる厳しいムーブの選択もありましたが、その後は安定を取り戻しました。

複合は3種目。彼女はそのうちの2種目が安定してるので強い。これが強さの要因でもありますが、一方で、今回は誰よりも大会に対する強い思いを感じました。年齢も30歳で五輪へのラストチャンスでした。その強いメンタルが一番力になっていると思いました。

野口選手は今、いろんな能力が高まり切って、ピークといえます。伸びしろが多くあるわけではありません。その中でスピードにはまだ成長の可能性がある。複合は3種目の順位の掛け算で総合順位が決まります。スピードで1つでも順位を上げると、総合順位もはねあがります。まだ1年あります。東京五輪で金メダルを手にする力は十分あると思います。(プロフリークライマー、12、13年W杯リード年間総合優勝)