織田氏より浜田コーチより選手が被害者/記者の目

織田信成氏(左)と浜田美栄コーチ

プロスケーターで9月まで関大(大阪・吹田市)のアイススケート部監督を務めた織田信成氏(32)が18日、同大学の施設(高槻市)で指導する浜田美栄コーチ(60)からモラルハラスメントを受け監督辞任に追い込まれたとして、同コーチに対し、1100万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。

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記者の目 皮肉にも日々練習に励む選手が、一番の被害者になってしまった。織田氏、浜田コーチの歩み寄りはもちろん、両者の間にいる立場の関大から発信される情報も具体性に欠ける中で、本格化するシーズン最中での提訴に至った状況が残念でならない。

今月初旬に滋賀で行われた西日本選手権。関係者は「選手の家まで週刊誌の記者が来ているらしい。かわいそう」と頭を抱えていた。織田氏が自身のブログで「モラハラ」を訴え、問題が表面化したのが9月29日。10月3日から開催された近畿選手権の直前だった。

トップ選手の陰に隠れがちだが、多くの選手は全国の晴れ舞台を目指し、予選会となる近畿、西日本選手権で1年の集大成を披露する。織田氏、浜田コーチの教え子も多数出場。織田氏は記者会見で「それ(選手への影響)はないんじゃないかなと思います」としたが、この日の提訴を機に、リンクの外はさらに騒がしくなっていくだろう。

それをも覚悟の上で、織田氏は「学生や選手たちがよりよい、健全な環境で練習できるようにという気持ち」と口にし、行動を起こした。今後は互いの主張を、司法の場で繰り広げることになる。選手のためにもできる限り早く、真実を明らかにする必要がある。【フィギュアスケート担当 松本航】