短髪姿披露の池江璃花子「小さな希望になれば…」

池江璃花子のインスタグラムより

競泳女子の池江璃花子(19=ルネサンス)が「ありのままの姿」で新しいスタートを切った。18日、自身のSNSでベリーショートの髪形を初披露。「髪の毛がないことは恥ずかしいことじゃない」とした。昨年2月から白血病の治療で髪が抜けたが、少しずつ回復の道を歩む。新型コロナウイルス感染拡大で不安な日々の中、真っすぐな姿勢で「誰かにとっても、小さな希望になればうれしいです」と控えめにつづった。

   ◇   ◇   ◇

池江が、SNSでベリーショートの髪形を初披露した。シンプルな白いシャツを着て、ほほえみを浮かべる。「私にとっては、生きていることが奇跡です。ここにいられることが、まるで奇跡のようです。ありのままの本当の私、そして少しずつ前進していく姿をお見せしたいです」。

昨年2月に白血病が発覚。同12月の退院まで10カ月の入院生活を送った。病気の治療で髪は抜けた。これまで頭部はニット帽やウイッグで覆ってきた。「髪の毛が全くはえていなかったし、その時はやっぱり、髪の毛が長い自分が恋しいと思う自分もいたからです」。しかし写真とともに、ありのままを受け入れる決意を表明した形。「病気になって髪の毛がなくなったけど。髪がないことは恥ずかしいことじゃないし、自分の今のこの髪の毛、この自分自身に誇りを持っている。自分らしくあることに誇りを持っているので、隠す必要もありません」とした。

白血病公表から入院、退院とその時々で率直な気持ちを発信してきた。新型コロナウイルス感染拡大で不足した献血への協力も呼びかけている。3月17日には406日ぶりのプールに入る姿を掲載。体調を最優先しつつ、少しずつできることを増やしている。短髪の披露は、パートナーシップ契約を結んだ化粧品メーカー「SK-Ⅱ」とのコラボとなった。「病気になり、退院してから、自然にありのままの自分をとってもらいたいと思いました。回復への道のり、少しずつ前進していく姿を、メッセージとして発信することをサポートしてもらい感謝しています」とした。

昨年12月の退院時、2024年パリオリンピック(五輪)でのメダル獲得を大目標に掲げた。同じ病気を患った人たちに、自分が泳ぐ姿を見せたいという気持ちも、強い動機になっている。

「現在、世界中が不安で辛い日々を送っています。このメッセージが、アスリートの仲間にとっても、また同じように苦難と戦っている誰かにとっても、小さな希望になればうれしいです」。19歳は控えめに、だが、しっかりした足取りで歩んでいく。【益田一弘】

◆池江璃花子(いけえ・りかこ)2000年(平12)7月4日、東京都生まれ。15年世界選手権で中学生として14年ぶりに代表入り。得意は100メートルバタフライで自己記録は56秒08。16年リオデジャネイロ五輪5位、18年パンパシフィック選手権で主要国際大会初優勝。同年ジャカルタ・アジア大会では日本勢最多6冠で女子初の大会MVPに選出された。昨年2月に白血病を公表して入院。同12月に退院。171センチ、60キロ。

<池江の経過メモ>

◆19年2月4日 オーストラリア合宿中に疲労が抜けず、現地で検査を受ける。

◆同8日 緊急帰国。白血病と診断されて入院。

◆同12日 ツイッターで白血病を公表。「私自身いまだに信じられず、混乱している状況です」

◆同3月6日 ツイッターで「思ってたより、数十倍、数百倍、数千倍しんどいです」とつづる。

◆同4月8日 日大入学と同水泳部入部を発表。

◆同5月8日 公式HPを開設して「たくさんの言葉に励まされ、最後まで頑張りたい、負けたくないという気持ち」と記した。

◆同7月4日 19歳の誕生日を迎える。

◆同9月6日 日本学生選手権を3日連続で応援。男子総合優勝に「とてもうれしかったです」。

◆同12月17日 公式HPで退院を発表。今後の目標として「2024年のパリ五輪出場、メダル獲得という目標で頑張っていきたいと思います」と明かした。

◆20年2月8日 SNSに陸上での練習を掲載。

◆同3月17日 406日ぶりのプールに入ったことをSNSで報告。「言葉に表せないぐらいうれしくて気持ち良くて幸せです」。