八村「クラッチ・シューター」になれるか、飛躍の鍵

ウィザーズ八村塁(19年10月23日撮影・菅敏)

米バスケットボールNBAウィザーズの八村塁(22)のルーキーシーズンが終わった。

日本人初のドラフト1巡目指名を受け、10月23日の開幕戦では14得点10リバウンドの“ダブルダブル”で鮮烈デビュー。その後もレギュラーの一角として出場を重ね、出場48試合すべてに先発して13・5点をマーク。6・1リバウンドは、規定試合数に達した新人ではトップだった。

十分評価されるべき成績を残した一方で、2年目以降に向けての課題も見えた。その1つが、試合終盤に存在感を失いがちだったことだ。

シーズン中断前はとくにその傾向が強かった。3月までの各クオーター(Q)ごとの平均得点は、第1Q=4・2点、第2Q=3・8点、第3Q=3・9点に対し、第4Q=1・5点に急降下。これはスタミナ面というより、実績面に起因する。1つのプレーが勝敗に直結する重要な局面になるほど、チーム随一の実力者ビールにボールを託そうとする意識がチーム全体に浸透していた。

シーズン中、終盤になかなかボールが回ってこない状況について八村は「僕はルーキー。ブラッド(ビール)なんかは1年で30億~40億円ともらっている。そういう選手がボールを持たなければ、誰が持つんだという話」。エースの持つ絶大な信頼感や存在感にリスペストを示していた。

3月までの出場41試合中8試合は、第4Qでの出場時間がまったくなかった。期待の新人に多くのプレー機会を与えてきた首脳陣だが、勝負が懸かった終盤には、経験豊富な選手をコートに送り込んだ。

しかし、チームの得点力1、2位のビールとベルタンス不在で迎えた再開後は、八村の各クオーターごとの得点傾向に変化が確認できた。出場した7試合の得点分布は第1Q=3・4点、第2Q=3・3点、第3Q=4・3点、そして第4Q=3・4点。試合終盤にコートに立つ時間が延びるにつれ、得点数も着実に増えていった。緊迫した場面での出場経験を積み、その中で得点する機会が増えたことは、ルーキーとして貴重な経験になったはずだ。

バスケットボールでは、終盤の勝負どころの時間帯を「クラッチ・タイム」と呼び、プレッシャーのかかる状況下で勝敗を左右するシュートを決められる選手は「クラッチ・シューター」と称される。土壇場での勝負強さが身につけば、八村は2年目以降、さらなる飛躍を遂げるはずだ。【奥岡幹浩、松熊洋介】