23日に米国で行われた伝統の自動車レース、インディ500で3年ぶり2度目の優勝を果たした佐藤琢磨(43=ホンダ)が25日、オンラインで会見を行い「しっかりとプログラムを立てて、戦うことができた」とレースを振り返った。
昨年の決勝は14番手からのスタートだったが、今年は3番手だったことで「安全にトップ集団の中でレースができ、2台に絞って戦えた」と安定した走りにつながった。勝負を仕掛けた150周過ぎ、前を走るディクソンをとらえた際に「本気で抜きに来ているのかどうか」と様子をうかがった。その後も競り合いが続く中「車のバランスがパーフェクトに近いくらいに持って行けたので、最後まで走り切る自信があった」と冷静に分析し、逃げ切った。残り5周で事故が発生し、セーフティーカーに先導され“ウイニングラン”。うれしさのあまり、チームとのマイクを切り、1人車内で絶叫したという。
17年の優勝と環境は全く違った。18年に以前のチームに復帰したが、インディ500は散々な結果だった。19年の同レースは大きな飛躍を遂げ、0・2秒差の3位だったが「トップ争いに加わるのが遅く、車の完成度も低かった」と見かけ以上の差を感じていた。それでも「昨年からの大きなステップが確実に今年につながる自信があった」とホンダの性能にも後押しされ、勝利を導いた。
104回目の伝統のレースで史上20人目の複数回優勝の快挙を成し遂げた。「伝説的なドライバーの中に入ると思っていなかった。これ本当にすごいのかな」と最初は信じられなかったが、多くの関係者から「圧倒して勝ったことは誇りに思ってほしい」と言われ「これが2回勝つことなのかな」と実感したという。
コロナ禍で約3カ月遅れ、無観客という異例の開催も「パンデミックの中で元気を与えられたことがうれしかった。会場の雰囲気は寂しかったが、チームも勝ちを狙って全力で走った。すべてをチームにささげたい」と仲間に感謝した。
10年にF1からインディカー・シリーズに転向して11季目。40歳での初優勝から3年目の今季、再び頂点に立った。現在レーシングスクールの校長も務めており「みんながやる中でも飛び抜けないと勝負の世界では勝てない。現役最年長でもできるということを見せたかった」と若いドライバーたちにエールを送った。不惑を迎えても成長を続ける43歳は、休むことなく今週末のレースに向かう。【松熊洋介】