7人制ラグビー代表候補中川和真、東京五輪にTRY

7人制ラグビーで東京五輪出場を目指すキヤノン中川(キヤノン提供)

ラグビー7人制男子日本代表候補の中川和真(25=キヤノン、函館工高出)が来年の東京オリンピック(五輪)出場へ猛アピールを続けている。11月30日、埼玉・熊谷市での同代表候補合宿を打ち上げた。29日には熊谷ラグビー場で行われた候補選手同士の紅白戦2試合に青組の一員として出場。後半から出た1試合目にトライを挙げるなど活躍した。12人の代表メンバー入りへ、さらなる成長を誓った。

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初の代表候補入りから1年。ラグビー7人制日本代表候補の中川は8カ月後に迫る東京五輪メンバー入りへ意欲をたぎらせている。

中川 大学生の時は口で出しているだけの夢だったけど、今はいろいろなサポートや支えがあってここまできた。チャレンジできるところまで来ている。あきらめずにいきたい。

18年にトップリーグのキヤノン入りして3年目。夢舞台へ、全身全霊でトライしていく。

大学ラグビーの名門・大東大でFBとして活躍しながら、16年には大学で7人制の全国大会、ジャパンセブンズ選手権で優勝。「スピード感がめちゃくちゃあるので、そこは楽しい」と大学在学中から7人制にも力を注いできた。キヤノン入りに際しても会社に「五輪にチャレンジしたい」と伝え、15人制と並行して昨年11月には代表候補に名を連ねるまでに成長した。

新型コロナウイルスの影響で東京五輪は延期され、代表活動が再開されたのは6月下旬。「7月に五輪を迎えていたら、テレビの前で見ていたと思う。1年伸びて、チャレンジできる時間が増えた」。家や公園で筋トレし、都内の自宅近くの山を走るなどフィジカル面の強化を続けた。増えた在宅時間は試合映像を見る時間に費やし「世界とは本当に計り知れないぐらい差がある」と痛感。自らの戦うスタイルを見直してきた。

合宿には23人が参加したが、東京五輪までには12人に絞られる。3月以来の実戦となった29日の紅白戦では後半から出場した1試合目にトライを獲得。2試合目はフル出場。持ち味のステップワークとともに「“気の利くプレー”にフォーカスしていきたい。トライをさかのぼると起点は中川だったと言われるように」と献身的なプレーでアピールしていく。

函館工高2、3年で北海道高校選抜に選ばれるも、花園出場経験はなく「最初は田舎者扱いされた」。無名の存在だったが、大学2年でスタメンを獲得して実績を積み上げた。キヤノン入り後も田村優主将らワールドカップやテストマッチで実績のある先輩の背中を追い「体型や見た目も全然違う。体の軸や強さが増した」と成長を重ねてきた。

メンバー入りすれば25歳で迎える東京五輪で伝えたい思いもある。

中川 北海道出身で(五輪の舞台で)日本代表をやっているやつがいるよと知ってもらえれば。(173センチと)小さいプレーヤーでも生きる道があるんだというのを伝えたい。ラグビーをやっている小さいラガーマンに希望や目標になりたい。

五輪で自らの歩みを証明するとともに、故郷の子どもたちに憧れる存在になる。【浅水友輝】

◆中川和真(なかがわ・かずま)1995年(平7)10月28日、函館市生まれ。函館湯川中1年の時に、函館ラグビースクールで競技を始めた。函館工高2、3年で道高校選抜。大東大では17年に関東大学オールスターに選出。全国大学選手権は17年度4強。18年にキヤノン入りし、昨年11月に7人制の日本代表候補に初選出。ポジションは15人制でFBとWTB、7人制でバックス。家族は両親と兄。173センチ、81キロ。

◆7人制ラグビー 試合時間は前後半7分で1日複数の試合を実施することが多い。FW3人、バックス4人で構成し、スクラムは3人同士で組む。15人制と同じフィールドをカバーするため、ボールが大きく動き、スピードやハンドリングスキルが重要となる。16年リオデジャネイロ大会で五輪競技初採用。日本男子は強豪ニュージーランドを破るなど4位だった。東京五輪は男女とも12チーム出場(1チーム12人)。4チームずつ3組に分かれて1次リーグを行い、各組上位2チームと各組3位の勝ち点上位2チームが、8チームによる決勝トーナメントに進出。順位決定戦も行われる。