日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(63)が5日、都内で取材に応じ、前日4日に東京五輪出場を決めた競泳女子の池江瑠花子(20=ルネサンス)を祝福した。
白血病の判明から約2年2カ月。闘病をへた奇跡的な復活劇に「正直、驚きました。信じられなかった。回復力がすごいだけではなく、一生懸命、頑張っている人には何か見えない力が宿るんだ」と感服した。
全日本選抜体重別選手権(福岡)で出張していたため、リアルタイムでは観戦できなかったが「予選、準決勝からギアを2つぐらい上げていた」ことを映像で確認。「大会に復帰するだけでも驚きだったし、今朝の各紙を見ても『ここまでは来られないだろう』という関係者の見方もあった。その非常に厳しく苦しい中でも、我々には分からない努力をして試練を乗り越えて、常に前を向いて、できることに集中した結果」と称賛の言葉を重ねた。
昨夏、JOCが入るビル前の国立競技場では、東京五輪の再1年前イベントが行われた。池江が聖火を手にメッセージ。そこから9カ月弱の出来事に「あのカウントダウンから我々が学んだことは多々あった。苦しんでいる人たちに対しても、何か困難なことが起きたとしても、諦めてはいけないと。そして、延期されて今夏になった東京五輪。彼女が間に合う、間に合わない、どころかアスリートとして復帰できるのか、とまで思われていた。私も24年パリ五輪には何とか出てほしいな、と思っていた中での驚異的な復活。精神的な強さは、すごいものがある。感動しました」と、ねぎらった。
また、全日本柔道連盟(全柔連)の会長としては選抜体重別にも言及。先月24日に53歳で亡くなった92年バルセロナ五輪男子71キロ級金メダリスト古賀稔彦さんの次男、玄暉(22=旭化成)が男子60キロ級で初優勝した。「よう頑張りました。いい試合だったですね。気迫に満ちてました」と高く評価した上で、感慨深そうに視線を上に向けた。
「お父さんが乗り移ったかのような。あぁ稔彦、このどこかで見てるんだろうなあ、と思いながら」
表彰式では玄暉に金メダルを授与するプレゼンターを務めた。「左膝の負傷を乗り越えて、よく。玄暉、立派だったです。メダルを渡す時は、私も目頭が熱くなりました」と、こちらも感動した“世界の山下”は「これからも頑張ってほしい」と心からのエールを送った。【木下淳】