長野金の清水宏保クラブチーム結成「選手育てる門を広げたい」指導に充実感

スピードスケートの新チーム「レッドオーバル札幌」について語る代表の清水氏(撮影・保坂果那)

スピードスケートの98年長野五輪金メダリスト清水宏保氏(47)が今春、代表を務めるクラブチーム「レッドオーバル札幌」を発足させた。競技を始める小学生から、国内外の大会に出場する社会人選手の受け皿として「札幌から、世界へ」をテーマに、選手育成や競技普及に力を入れる。

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札幌市内を拠点にしたスピードスケートのクラブチームが結成された。代表の清水氏が育成に乗り出し、世界の頂点に立った経験を注入する。「札幌にはチームがない。選手を育てる門を広げたい。自分がやってきたことを還元できれば」と思いを語る。

昨年度スポーツ少年団として登録されている札幌市内のスピードスケート、ショートトラックのチームは1団体のみだった。白樺学園高の後輩で北海道スポーツ協会職員の小松洋介さん(40)から相談を受け、協力することに決めた。チーム名は「レッドオーバル札幌」。情熱の赤とラテン語で卵を意味するオーバルを組み合わせ、「卵っていろんなものが生まれる前。情熱とともに成長していくって意味を込めた」という。

指導者への思いを強めたきっかけは、今年2月に放送されたテレビ番組だった。企画で八戸西高の選手を約2週間指導した。これまでスケート教室など単発での指導経験はあったが、選手個人個人と向き合った指導は初めてだった。自身のアドバイスによって短期間ながら成長を見せる高校生の姿に「すごく充実感を覚えた」。10年に現役を引退後、解説などで競技を見る機会はあっても、現場に携わる機会がなかった。札幌ではその環境もなかった。だからそのチャンスに心も浮き立つ。

メンバーの対象は小学生から社会人と幅広い。未経験者も歓迎する。すでに小学生や高校生、大学生が入団を希望している。今月初旬に初練習の予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大状況を見ながら本格的な練習を開始する。「インターハイ優勝者を出したい。五輪に出場する選手が育ってもらいたい」と目標を掲げるが、まずは「スケートの楽しさを知ってもらいたい」と、競技の普及を目指していく。【保坂果那】

◆RED OVAL SAPPORO Speed Skating Team(レッドオーバル札幌スピードスケーティングチーム) 21年春に始動。活動拠点は札幌市内スケートリンク、体育館。活動日は毎週火、木、土曜の夕方。オンラインでのトレーニング指導もあり。月額8000円。小学生から社会人まで応募可能。問い合わせは小松洋介チームディレクター・ヘッドコーチ電話090・3118・7689、またはメールredovalsapporo@gmail.comまで。

◆清水氏の経歴 五輪は94年リレハンメルから06年トリノまで4大会連続出場。三協精機(現日本電産サンキョー)所属だった98年長野大会500メートル金、1000メートル銅メダルを獲得。プロスケーターとしてNECと契約後、02年ソルトレークシティー大会500メートル銀メダル。500メートルで4度世界記録を更新した。10年に現役引退。現在は札幌市内でトレーニングジム、リハビリ・介護施設を経営。スポーツキャスターとしても活躍。日本スケート連盟理事。

◆北海道内スピードスケートチーム事情 20年度のスポーツ少年団としての登録は47チーム755人。札幌を拠点にしたチームはボルテックススポーツ少年団(4人)のみだった。十勝や釧根地方が盛ん。芽室小学校スケートスポーツ少年団は最多団員数85人。北海道スケート連盟の登録者数は506人で小学生153人、中学生234人、高校生119人だった。