部がない秋田南初の選手、鈴木彩音が1年生女王/東北高校レスリング

女子47キロ級 秋田南の鈴木は得意の片足タックルを武器に4戦全勝で1年生女王に輝く

<東北高校レスリング>26日◇女子47キロ級決勝リーグほか◇福島・田島高校体育館

女子47キロ級は、秋田南の鈴木彩音が不戦1勝を含む4戦全勝で1年生女王に輝いた。レスリング部のない秋田南で初めてのレスリング選手。コロナ禍の中、強豪・秋田商への「出げいこ」で心身を磨き、全国高校総体(8月21~24日、福井)出場を決めた。

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各階級2枚の全国切符を争う大会で、47キロ級の鈴木が各階級最多5人(欠場1人)の総当たりリーグを制した。1R(ラウンド)3分の2R制で、開会式後の開幕試合は1分55秒のテクニカルフォール勝ち。続く2戦目は開始32秒でフォール勝ちし、不戦勝を挟んだ最後は1分44秒のテクニカルフォール勝ちで締めた。高校入学3カ月で東北の頂点に立った鈴木は「挑戦する気持ちで練習してきたことをうまく出せた。納得のいく試合ができました」と自己評価した。

牛島小1年時に秋田市の杉田道場で本格的にレスリングを始めた。同小5年時に全国3位入賞も、レスリング部のなかった城南中では柔道部に所属し、力を蓄えた。普通科志望で進学した秋田南にもレスリング部はないが、父信行さんが秋田商OBという縁もあり、放課後は毎日、学校の垣根を越えて「出げいこ」に通っている。

その秋田商では信行さんの後輩になる宮原崇監督(34)の指導を受ける。在学3年時の66キロ級で高校3冠(全国選抜、全国総体、国体)を達成。明大4年時はインカレ74キロ級も制した実力者。この日もセコンドの同監督からアドバイスを受けた鈴木は「相手の特徴を教えてもらって攻められた」と感謝した。

スピードを生かした片足タックルから寝技に持ち込み、バックアタックやローリング、アンクルホールドと多彩な攻撃でポイントを奪う。宮原監督が指摘する今後の課題は組み手からの崩し。鈴木は「もっと技の正確性を高めて優勝できるようにしたい」と全国に乗り込む。【佐々木雄高】

◆女子68キロ級 佐藤杏樹(秋田商2年)が2戦連続のテクニカルフォール勝ちで今春のJOCジュニア五輪・クイーンズカップ65キロ級2位の実力を示した。宮原監督も「理解力も適応力もあり、全国レベルで優勝も狙える」と太鼓判を押す。全国高校総体は68キロ級で戦う。本来の体重65キロから3キロ増維持を続けている佐藤は「好きなものを食べられるので減量より楽です。(ポイントを)取り切れない部分もあったので技の返し方を練習して優勝を狙いたい」と全国制覇を目標に掲げた。

◆女子74キロ級 エントリー1人で、佐々木澄玲(秋田商3年)が戦わずに優勝を決めた。3歳からレスリングを始め、小学生の時は北日本大会優勝や全国8強の実績。だが、レスリング部のなかった羽城中では柔道部で70キロ超級だった。秋田商では昨春、柔道部からレスリング部に転部したが、体重125キロから出場可能な階級の74キロまで減量した。毎日7キロのランニングに加え、炭水化物を控えた夕食は「断しゃり」を決行。約1年間で50キロ以上の減量に成功した。佐々木は「試合がしたかった。投げ技をしっかり決められるようにして表彰台を目指したい」と全国大会に照準を合わせた。