東京オリンピック(五輪)が8日、閉幕した。日刊スポーツでは、3年後の24年パリ五輪を目指す道産子ホープを紹介する。競泳男子背泳ぎの山田海都(札幌静修3年)は、4月の日本選手権200メートル予選で全体2位の1分59秒33をマークした成長株。昨年2月のアジアジュニアユース選手権で銀メダルを獲得した女子重量挙げ71キロ級の瀬川瑠奈(士別翔雲3年)、ボクシング全国高校選抜ミドル級王者の川村陸(札幌工2年)がパリを見据える。
【競泳男子背泳ぎ 山田海都】
粗削りもパワフルな泳ぎでパリを狙う。山田は「もっと力をつけ、五輪を目指せるような選手になりたい」と強い口調で話した。東京五輪選考会を兼ねた4月の日本選手権は3度目の出場で初の予選突破。エントリータイムは下から2番目も、自己記録を2秒61縮め1分59秒33の北海道記録をマークした。日本の第一人者、入江陵介に次ぐ全体2位で準決勝進出し「自信になった」と振り返る。
将来を見据えた作戦が好記録を生んだ。小6から本格指導するスポーツアカデミーソシアの近藤匡直コーチ(43)は「ここまで2度予選敗退。同じことをやっても変わらない」。1ストロークのテンポを通常の1・2秒前後から1・5秒と遅くして練習。山田自身は「長い距離は苦手」と100メートルを好んで練習も、同コーチは「全国的ランクは200の方が上」と、飛ばし気味な序盤を抑えさせ、終盤の失速を回避した策が、能力開花につながった。
五輪4大会連続決勝進出の入江は、体の軸がぶれない美しいフォームで有名だが、山田は「僕は暴れる泳ぎ。上下動も多い。トビウオみたい」。近藤コーチは「独特だが、ひとかきで進む力は驚異的。直そうと思ったが彼の場合は型にはめない方が良いと思った」。日本選手権での成果は、個性的な泳ぎで記録を伸ばすための、ヒントになった。
卒業後は本州の大学に進み五輪を見据える。そのためにも17日から競技が始まる高校総体で結果を残す。1年時100メートル8位、昨年はコロナ禍で中止。「お世話になった近藤コーチに金メダルをかける」。暴れん坊スイマーが恩返しの力泳を見せる。【永野高輔】
【ボクシング男子ミドル級 川村陸】
高校ボクシング界期待の星、川村が、パリ五輪出場のチャンスをうかがう。猛暑が続くなか、札幌工のボクシング場で大粒の汗を滴らせながら、静かに拳を磨いている。「上の舞台があるなら行ってみたい」と控えめだが、東京五輪でボクシング日本代表選手の活躍に刺激を受け、3年後の舞台に意欲をみせる。
まだ2年生だが、すでに全国トップレベルの実力を持つ。3月の全国高校選抜徳島特別大会のミドル級で優勝。日本ボクシング連盟のユース部門強化指定選手にも選ばれた。五輪のミドル級は、12年ロンドン大会で村田諒太(35=帝拳)が金メダルを獲得。東京大会では森脇唯人(25=自衛隊体育学校)が2回戦敗退も村田以来の同階級出場を果たした。川村も同階級の次世代ホープとして期待される。
直近の目標は高校総体制覇。9日に初戦のリングに上がる。「選抜に出ていた選手も絶対に強くなっているし、戦っていない相手も全国から出てくる。油断せずに勝っていきたい。調子は上がっている」。高校タイトルを総なめにし、パリへの布石にする。【山崎純一】
【女子重量挙げ71キロ級 瀬川瑠奈】
瀬川は東京五輪を見て「自分も五輪の舞台に立ちたい」と思いをさらに強くした。今は12日に競技が行われる高校総体を照準にする。同世代では無類の強さを誇る。「ミスなく自分の力を発揮すれば結果はついてくる」と自信を見せた。
元々はチアリーディングやトランポリンに励んでいた。体育館でトランポリンの練習台を軽々と運ぶ瀬川を見て、当時のコーチが隣で行われていた重量挙げを勧めた。試しにバーベルを持つと、軽々と持ち上げた。現在のコーチを務める北海道協会理事の古川敬さん(51)は「いきなり70キロくらいを持ち上げて驚いた」と当時を振り返る。
古川さんは普段の生活にも驚く。「五輪を目指す選手には珍しく、競技を離れると普通の女子高生と同じ。オンオフの切り替えがうまい」。瀬川も「練習後や休みの日は、アーティストの動画などを見るのが楽しみ。ジャニーズが好きで、最近はSnow Man推し」と目を輝かせた。
昨年のアジアジュニアユース選手権で2位に入ったが、「1本のミスが響いて、中学生に負けて悔しかった。ノーミスの大切さを実感した。1本ずつ大切にすることを心掛けたい」と満足しない。「国際大会の経験を積んで、24、28年と五輪に出場したい」と力強く語った。【小林憲治】