<体操:世界選手権>◇18日◇第1日◇福岡・北九州市総合体育館
女子予選が行われ、エース村上茉愛(25=日体ク)が床運動で14・166点をマークした。
日本女子で初の個人種目のメダルとなる銅メダルを獲得した東京五輪と同スコア。今日19日の他国の予選2日目を残し、現役最後の覚悟で臨む舞台で暫定首位に立った。足首のケガで万全ではないが、「自分のためではなく見てくれる人のために」の一心で演じ抜く。床運動の決勝は24日に行われる。
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小6で跳んだ床運動のH難度「シリバス」。後方に抱え込んで2回宙返りながら2回ひねる大技を序盤で決めると、心がほぐれた。村上の耳に五輪ではなかった手拍子が聞こえてきた。有観客だからこそ。「自分のためではなく、見てくれる人のための演技をしたい」。五輪では直接見てもらうことができなかった恩返しの舞。大きくなる拍手に「感動してくれる演技ができてる」と高揚した。
今月中旬に右足首を痛めた。まともに歩けない状態で、「全体的に準備不足」と認める。五輪の燃え尽きから種目を2種に絞る決断はしていたが、その演技自体にも不安はあった。最初の平均台では足が震えていたという。ただ、そこでも「応援の力に助けられた」と緊張をほぐせた。
観客席には体操を始めるきっかけになった母英子さんがいた。まだ予選ながら涙する姿に「泣いてるのはまだ早いな」と笑顔も、「見ている人のため」の筆頭は母だ。五輪後は1カ月以上、床運動の演技を通す練習をしなかった。この舞台を目指せたのは母の「気持ちのままにいけばいいよ。応援に行くから」の一言だった。
「1回1回全力。1回を無駄にしない最高の演技を」。最後になるかもしれない、決勝の1回。終幕も多くの「見てくれる人」のために-。【阿部健吾】