北京オリンピック(五輪)まで16日で50日前となった。18年平昌五輪で3個の金を含む6個のメダルを得たスピードスケート。前回はすべて女子だったが、今回は男子も強い。特に500メートルの層は厚くメダル候補が居並ぶ。日本記録保持者で、今季ワールドカップ(W杯)2勝の新浜立也(25)と初優勝を含め好成績の続く森重航(21)の選出は確実。残り1枠は29日に開幕する日本代表選考会(長野)で決まる。98年長野五輪の清水宏保以来、24年ぶりの金メダルへ期待が高まっている。
事実上、残り1枠となった男子500メートルの代表争いは熾烈(しれつ)だ。昨季、エース新浜と国内で優勝を分け合ってきた村上、今季初優勝した松井、そこに国内組で5大会連続出場を狙う加藤条治らが加わる。
村上はシーズン前にアクシデントに見舞われた。11月のW杯開幕直前、ドイツでの合宿中に転倒し、背中と左腕合わせて7針縫うケガを負った。その影響でW杯第1~3戦で表彰台はゼロ。しかし、五輪前最後のW杯となった10日からのカルガリー大会で復活した。
2レース続けて33秒台の好記録。特に2本目は100メートル通過で自己最高の9秒42を出す。夜はマイナス10度以下にもなった極寒の地でも表情は明るかった。「どんな状況でも選考会で優勝して五輪に出るつもりだった」。残り1枠の代表争いにも悲壮感はない。
3日のソルトレークシティー大会でW杯初勝利を挙げた松井も虎視眈々(たんたん)と1枠を狙う。初五輪切符は「意識している。選考会で出し切れるかが本当の実力だ」と話す。
なぜ男子短距離界に世界トップ級の人材が増えたのか-。日本連盟のヨハン・デビッド・コーチは「彼らは身体能力が高い。ジャンプも高く跳べるし、自転車トレもとてもパワーがある。ウエートトレも含めスプリンター型の能力がとても高い。だから今の活躍は驚かない」と言い切った。
スピードスケートでは惨敗した14年ソチ五輪後から、日本代表は所属の枠を超えて年間を通して合宿など行動を共にする。国内トップレベルが競り合うことで相乗効果が生まれる。「彼らは人間として素晴らしくお互いを助け合い、切磋琢磨(せっさたくま)している」とデビッド・コーチ。実際、カルガリー大会で森重と村上が33秒台を出した時、成績が振るわなかった新浜は2人に「33秒台おめでとう」と声をかけた。個人競技だがチームで世界と戦っている姿勢を象徴するシーンだった。
運命の日本代表選考会、男子500メートルは初日の29日。W杯組だけでなく加藤ら国内調整組も加わる残り1つの椅子を懸けた氷上の一発勝負から目が離せない。【三須一紀】