村元哉中&高橋大輔組「ふたを開けるまで分からない」五輪代表へ吉報待つ

アイスダンス・フリーダンスの演技を終え村元(右)は高橋と笑顔で抱き合う(撮影・垰建太)

リズムダンス(RD)2位と出遅れた村元哉中(かな、28)、高橋大輔(35)組(関大KFSC)が初優勝を逃した。

【村元哉中&高橋大輔組】2位 心境「クリスマスを楽しみたい」1・86点及ばず>

フリーダンス(FD)1位の112・96点を記録したが、合計176・31点。五輪1枠を争う小松原美里、尊組に1・86点及ばなかった。26日に発表される22年北京五輪代表へ、高橋は「ふたを開けるまで分からない」。結成2季目での成長を確かめ、吉報を待つ。

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四方八方からの拍手に包まれ、高橋は村元を強く抱き締めた。回転しながら進むリフトでバランスを崩すなど、小さなミスが頭をよぎった。それでも2人でゼロから歩んできた2年を振り返れば、誇れる内容だった。2日前のRDでは痛恨の転倒があり「悔しいけれど、自分たちの成長は感じられている」。隣の村元も「“かなだい”の世界を思う存分、表現したい思いが強かった」と胸を張った。

「この人生を、楽しみなさい」-

この日の朝、来日できなかった米国のズエワ・コーチから言葉を授かった。演技後の村元が「コロナ禍でいろいろあった中で、ここまで来られたのは大ちゃんがすごい」とほほえんだ。

2年前の7月。シングル元世界王者の高橋は、18年平昌五輪アイスダンス代表の村元とのトライアウトに臨んだ。誘われたのは1月。行動まで半年を要した。

高橋 やれるならやりたい。でも、哉中ちゃんは初心者の僕よりも、もっとうまい人と組めると思った。

当時は33歳。転向となれば「五輪」の舞台も頭によぎる。後輩の人生に責任を持てるのか、不安だった。

決め手は自分の年齢だった。「『やっていたら良かった』よりも、失敗したら『ごめんなさい』。これが10代だったら思えない。最後のチャンスだと思った」。覚悟を決めたら、進むだけだった。リフトのために食事量を増やし、筋力トレーニングも始めた。それが自分で選んだ人生だった。

4連覇を飾った小松原組との差は、わずか1・86点。上回っていれば日本フィギュア界最多4度目、最年長35歳で迎える五輪の切符を、ほぼ手中に収めていた。RDで転倒した後悔を上書きするように「本当に明日、ふたをあけるまで分からない。考えないようにしようかな。クリスマスを楽しみたい」と笑った。村元も「すごくいい、自分たちへのクリスマスプレゼントになった。結果は悔しいけれど、収穫や達成感も交じっています」と前を向く。

一晩眠れば、運命の代表発表がやってくる。どちらに転んでも、努力の過程は色あせない。【松本航】

◆アイスダンスの北京五輪代表選考基準項目と、該当する組は以下の通り。

〈1〉全日本選手権最上位組(=小松原組)

〈2〉国際スケート連盟(ISU)世界ランキング最上位組(=小松原組)

〈3〉今季のISU世界ランキング最上位組(=村元、高橋組)

〈4〉今季のISUベストスコア(=村元、高橋組)