ラグビーの全国大学選手権で15大会ぶりに4強入りした京都産業大が、分析力と自主性で初の決勝進出をつかむ。
2日に東京・国立競技場で行われる準決勝で帝京大(関東対抗戦1位)と対戦する。OBの広瀬佳司監督(48)が就任した今季は、元木由記雄GM(50)との二人三脚で強化に力を注いできた。無名の選手ばかりの雑草軍団のため、対戦相手の分析を重要視。広瀬監督は「プレビュー、レビュー、プレビュー、レビューの毎日です」と明かしている。
単身赴任だが、関西リーグ中は1度も愛知県内の自宅には帰らなかった。全コーチと選手からもリポートを提出させ、日々、納得いくまで話し合いながら戦略を練ってきた。
今大会の組み合わせが決まると、帝京大との準決勝に照準を合わせ、時間をかけて分析を進めた。相手は17年度まで9連覇した強豪で、今季は優勝候補の筆頭に挙がる。それでも15年W杯で日本が南アフリカから金星を挙げた試合のように、相手の長所を消し、弱点を突く戦いで勝利をつかむ考えだ。
広瀬監督はこう話す。
「元木さん、田倉さん(FWコーチ)ら僕以外のコーチ陣は全員が長くこのチームに携わっている。その方たちにお任せして、何も変えず、大西先生(元監督)が築いてきたものを継承する。体を張って、ひたむきな姿を見せる」
選手の自主性を尊重し、強制はしない。特に京産大の看板でもあるFWは、田倉コーチが指導するのは週末だけ。大西元監督もグラウンドに姿を見せることはない。そのため、平日は学生中心でスクラムやモールなどの練習を積んできた。元木GMは「選手が主体的にやりやすいように取り組んでいる。そこが良かった」と言う。日本代表として経験豊富な首脳陣がそろっても、選手が自ら考える力を培ってきた。
準々決勝日大戦で先制トライを挙げ、守備でも大活躍した2年生WTBの船曳涼太(神戸科学技術)は「高校時代、僕は全国大会を経験したことがない。日大戦が初めての全国で、緊張でガチガチでした。でも、思い切ったプレーをしたら持ち味を出せる。(帝京大戦も)チャンスがあれば自分のラン(走り)で得点したい」と意気込んだ。
12月31日は雪の舞う京都市内の同校で調整し、広瀬監督からメンバーにジャージーを手渡す儀式が行われた。同監督は「国立のピッチで選手が100%の力を出せる準備をする」。元木GMは「絶対に引かないこと。1歩引くのと、1歩踏み込むのとは大きな違い。早く、低く。80分間やり続ける。もちろん勝ちに行く」と断言。同GMはFW第3列の3人(福西、三木、藤井)をキーマンに指名した上で「先頭に立って全力を出して欲しい」と期待した。
フランカー福西隼杜(3年=報徳学園)は「絶対に勝つ。ディフェンスでは絶対に負けられない」とキッパリ。相手の反則を誘い、FB竹下拓己(3年=東福岡)のPGで得点するパターンは確立されている。
元日には決戦の地となる東京へ移動。コロナ禍で国立を事前視察できるのは6人に制限されており、選手だけで向かう方針だ。同じ赤を基調とするチーム同士の対戦だが、京産大がファーストジャージーを着る方向になるという。
首脳陣の分析力と選手の自主性で、初の決勝進出へ。
京産大が新時代の扉を開く。
【京産大の登録メンバー】
1 野村三四郎(3年=西陵)
2 梅基天翔(4年=高岡第一)
3 ※平野叶翔(4年=西陵)
4 フナキ・ソロモネ(1年=目黒学院)
5 アサエリ・ラウシー(3年=日本航空石川)
6 福西隼杜(3年=報徳学園)
7 三木皓正(2年=京都成章)
8 藤井颯(4年=京都成章)
9 廣田瞬(4年=天理)
10 家村健太(3年=流通経大柏)
11 松岡大河(2年=東福岡)
12 ジェイミー・ヴァカラヒ(4年=日体大荏原)
13 堀田礼恩(4年=京都成章)
14 船曳涼太(2年=神戸科学技術)
15 竹下拓己(3年=東福岡)
16 桝屋直杜(4年=常翔啓光)
17 木村圭汰(4年=筑紫台)
18 杉本祐太(4年=常翔啓光)
19 井上康晴(1年=興国)
20 ヴェア・タモエフォラウ(2年=札幌山の手)
21 土永旭(1年=光泉カトリック)
22 西仲隼(3年=近大付)
23 高井良成(2年=関大北陽)
※はゲーム主将
(取材・益子浩一)