張本智和1年ぶりシングルス優勝で涙「不安な気持ちにもなっていた」心情吐露

<卓球ライオンカップ・トップ32>◇6日◇最終日◇東京・立川立飛アリーナ◇男女シングルス決勝など

第1回パリオリンピック(五輪)選考会を兼ねて行われた今大会で、張本智和(18=木下グループ)が優勝した。

及川瑞基(24=木下グループ)に4-2で勝利。国内外を通じて張本がシングルスで優勝するのは21年3月の「WTT(ワールド・テーブル・テニス)スターコンテンダー」以来、約1年ぶりだ。

張本は試合後に涙を見せた。「五輪シングルスではメダルが取れず、世界選手権でも1回戦で敗れ、全日本でも(16強で)負けて自分に勢いがないときに、他の選手が伸びて結構強気な発言する選手もいる中、不安な気持ちにもなっていた」。そう吐露した。

日本卓球界のキング、水谷隼が現役を退いた今、日本のエースは張本だと思われていたところに、1月の全日本選手権で戸上隼輔(20=明大)が初優勝。その優勝会見やインタビューで戸上は「自分が日本のエースだと思って今後戦う」などと発言していた。

張本は「自分も昔、中学生で優勝したときも強気な発言で『自分の時代』などいろいろ言っていた。誰にでも過ちはある」と冷静に対処。そして「自分はそれを早く経験し、五輪も経験したのでもう卓球界において自分が知らないことはない」と大人びていた。

自分が日本のエースだと思うかとの問いにも「それを言うとまた同じ。皆さんが決めること。毎回各大会で優勝した人が、今1番強い人だと思う」と語り、東京五輪前後の張本の強気発言とは一線を画した。

両親と暮らす張本は日々、「自分が格下だと思いなさい。そうしないとパリ五輪に出られないよ」と口酸っぱく言われたという。「うるさいなと思うときはあったが、挑戦者の気持ちで戦えたので、この結果につながった」と述べた。

第1回の選考会で優勝。ただ24年1月の全日本選手権まで選考過程は続く。「現時点ではトップだが、これを守る気持ちではなくて向かっていきたい」。しばらく悩み続けた受け身のメンタルは脱却し、前へ前へと歩み続ける。【三須一紀】