【こんな人】“できない人”だった帝京大ラグビー相馬朋和新監督「でも諦めず一生懸命」

帝京大の新監督に就任した相馬朋和氏(左)と前監督の岩出雅之氏(撮影・松本航)

ラグビーで1月に4季ぶり10度目となる大学日本一に輝いた帝京大は10日、新監督に元日本代表でOBの相馬朋和氏(44)が就任すると発表した。

09年度から前人未到の全国大学選手権9連覇に導いた岩出雅之前監督(64)は、4月に帝京大が新設する「スポーツ局」の初代局長に就任。ラグビー部の役職には就かない予定という。

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都内の記者会見場。穏やかに笑う岩出前監督と対照的に、相馬新監督は汗をにじませて決意を口にした。

色紙にしたためたのは「一生懸命」の文字。帝京大在学中の21歳で日本代表合宿に呼ばれたが、初キャップは三洋電機(現埼玉パナソニックワイルドナイツ)入社後の28歳。そんな過去を振り返り「私は“できない人”だった。怠け者で痛いのも怖かった。いきなりタックルもできなかった。周りは『あいつダメだな』と思った。でも諦めず、一生懸命やる経験をしてきました」と少し胸を張った。

帝京大に入学した96年、同時に監督に就任したのが岩出前監督だった。高校日本代表の英国遠征で行動を共にし、大学4年間、卒業後も事あるごとに助言をくれた。「岩出先生が好きです」-。そんな真っすぐなフレーズと共に、今、大切にしたいことに言及した。

「言葉にすると『守っていきたい』。なぜ帝京大学がここに至ったのかを自分なりに考え、周りの人に聞き、今ある物を大切にして、新たなものを加えていけたらと思います。今、それが何かといえば、学ぶべき物が多すぎます。まずは、考えることから始めたい」

強豪のパナソニックではヘッドコーチなどを経験。母校へ戻ることも簡単には決断できなかった。21年10月に帝京大のFWコーチに就任。妻と中3の長男、中1の次男、小3の長女は群馬に残し、単身赴任で都内に住むことになった。現役時代に120キロだった体重は130キロ。尊敬する岩出前監督に「胴上げできへんぞ」とツッコミを入れられた。大学で希少なプロップ出身の新監督は「私は目の前にあるものを食べてしまう」と苦笑いし、引き締まった表情になって言った。

「(大学生は)毎日いろいろな発見がある。昨日できていなかったことができる。そういう発見が毎日、いくつもある。それが一番幸せです。これからも私はずっと幸せだと思います」

大学ラグビー界の名将からバトンを受け継ぎ、大きな新監督が歩み始めた。【松本航】

◆相馬朋和(そうま・ともかず)1977年(昭52)6月5日、神奈川県生まれ。東京高時代に高校日本代表を経験し、帝京大に入学。00年に三洋電機に入社した。05年11月のスペイン戦で日本代表初キャップ獲得。07年W杯フランス大会に出場し、通算24キャップ。14年にパナソニックのスクラムコーチに就任し、ヘッドコーチを歴任。183センチ、130キロ。