【カーリング】1人少なくても前向いて戦った中部電力、無念棄権も2年ぶり国際大会で大きな収穫

<カーリング女子世界選手権>◇1次リーグ◇25日(日本時間26日)◇カナダ・プリンスジョージ

日本代表の中部電力が、新型コロナウイルスの影響で大会を棄権した。25日午前(日本時間26日午前1時)のスイス戦を前に、日本協会は中嶋星奈と松村千秋、スタッフ1人の計3人に新型コロナウイルスの陽性判定が出たことを発表。試合には陽性が確認されていない3選手で臨み、3-11で大敗した。その後、さらなる体調不良者が生じたことで、1次リーグ突破の可能性を残していた最終戦の韓国戦を戦うことなく大会を終えた。

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1-10で迎えた第5エンド。敗色濃厚の中でも、通常より1人少ない選手たちは前を向き続けた。このエンドの最終投を前に3人で作戦を確認し、難易度の高い1投を選択。スキップ北沢は、マスク越しに明るい声でチームメートと励まし合った。「OK。頑張るよ!」

北沢が放ったストーンは、ハウス手前に置かれていた石を勢いよくはじき、玉突きのようにしてハウス中央付近にあった相手の石を押し出した。ランバックと呼ばれるショットを鮮やかに決め、今大会無敗のスイスから複数点を獲得。スタンドから拍手が鳴り響いた。北沢は「どれぐらいストーンが曲がるか前のエンドで試せていた。次は決めようと臨んでいた」。大敗の悔しさは表に出さず、にこやかにうなずいた。

この試合で急きょ副スキップを務めた鈴木は試合序盤、相手の石を3つはじき出すトリプルテークアウトに成功。リード石郷岡も、1人で懸命にスイープして活路を切り開こうとした。北沢は「3人でやると覚悟を決めて臨んだ試合。出られなかった選手の分まで頑張ろうという気持ちだった」。

続く韓国戦に勝てばプレーオフ進出圏内に残る可能性があった。「スイーパーが1人だけにはなってしまうが、個々の投げが安定していれば形はつくれることが分かった。次の試合も頑張りたい」。スイス戦直後にはこう決意を口にしていた北沢だが、その後にさらなる体調不良者が出たことで、無念の大会棄権が決まった。

大会直前、チームの清水マネジャーは日刊スポーツの取材に対し、「カナダではマスクの着用義務が撤廃され、マスクをしていない方がたくさんいる」と報告。そのうえで、「感染予防としてアルコール消毒、マスクの着用を再徹底して過ごしています」と答えていた。スタッフも含めてチーム全員が細心の注意を払った。それでも防ぎ切れないのが新型コロナの怖さであり、やるせなさも募る。

意図せぬ形で大会を終えた中部電力だが、2年ぶりの国際大会で得た収穫は大きかったはずだ。日本女子を代表するチームは、北京オリンピック(五輪)銀メダルのロコ・ソラーレだけではない。各チームがしのぎを削り、刺激を与え合いながら、日本のレベルをさらに押し上げていく。

◆カーリングの出場人数 国際連盟の競技規則に明記され、試合開始時にプレーヤーが1人いない場合、3人で競技を開始する選択肢がある。その場合、最初の2人が3投ずつ、3人目が2投する。遅れた選手も決められた投球順とポジションで途中参加が認められており、3人より少ない人数で試合をすることはできない。

◆22年世界選手権 女子は日本を含めて計13チームが出場。全チーム総当たりの1次リーグ(L)を行い、上位6チームが決勝トーナメントに進む。1次Lの1、2位チームは無条件で準決勝に進出し、その前のプレーオフで同3位と同6位、同4位と同5位が対戦する。

◆中部電力カーリング部 09年創部で、日本選手権を6度優勝。世界選手権には2度出場し、19年には4位と奮闘した。国内女子では北京五輪銀メダルのロコ・ソラーレや、フォルティウス、富士急とともに「4強」の一角を担う。かつては、現ロコ・ソラーレの藤沢五月や、日刊スポーツの評論やテレビ解説でおなじみ市川美余さんも所属した。チームのモットーは「良きカーラーであると同時に良き社会人であること」。男子のTM軽井沢のスキップ両角友佑がコーチを務める。