<水泳:アーティスティックスイミング(AS)日本選手権>◇最終日◇3日◇東京辰巳国際水泳場◇チームフリー
史上最年少の14歳で日本代表に選出された比嘉もえ(AS広島)が、チームFRにオープン参加した日本のメンバーとして出場。チェスをテーマに、ほか7人のチームメートと息の合った演技を見せた。順位はつかないが、チームは全体トップの93・9000点をマーク。前日2日のデュエット・テクニカルルーティン(TR)などに続き、代表デビュー大会で存在感を示し、世界選手権(6月開幕、ブダペスト)に勢いを付けた。
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比嘉選手はチームフリーでも堂々と演技をしていました。本質的には、個としての表現力が高いソリストタイプ。そういう選手はチーム全体に合わせることが苦手なことも珍しくありませんが、彼女は華やかさを感じさせつつも、変に目立ちすぎることなく、足技をきっちり周囲とそろえられていた。スケールの大きさに加え、器用さも感じました。
前日のデュエットも見どころ十分。急きょコンビを結成して2カ月足らずにもかかわらず、良さを存分に出せていました。足技は美しさに加えて高さがあり、倒立もまっすぐで正確。それを可能としているのはペアを組んだ吉田萌選手の存在も大きい。経験豊富なベテランが、若手の良さをしっかり引き出していました。
比嘉選手が14歳であることを考えたとき、技術面以上に素晴らしいとも言えるのが精神面。五輪代表メンバーに交じっても、臆するところは感じられない。度胸満点で、いい意味でのふてぶてしさがあります。
彼女の存在を初めて知ったのは3年前で、当時は小学6年生。立ち姿を見ただけでこの子はすごいと感じました。スタイルの良さや華やかさに加え、技術や跳躍力も当時から目を見張るものがありました。いつかこの子の時代が来るだろうなと思ったら、予想を何倍も上回るスピードでそのときが来たかという印象です。
日本代表全体に話題を転じると、勢いと可能性を強く感じています。選手たちは「勝たねばならない」と気負いではなく、「勝ちたい、メダルを取りたい」と能動的な思いを抱いているのでは。それぞれの表情を見ても、前向きなエネルギーを感じます。新たにチームを率いる中島ヘッドコーチの指導方針がいい方向に出て、伸びやかさと可能性を感じるチームになっています。
6月の世界選手権では、まずはトップバッターとしてソロを演じるエース乾選手の役目は大きい。彼女が好結果を残して弾みをつけることができれば、その後のデュエットや混合デュエット、そしてチームと、全種目でメダルを狙えると期待しています。(88年ソウル五輪ソロ、デュエット銅メダル)