【レスリング】高谷大地が74キロ級制し世界選手権切符「兄貴離れ。いかに自分の物語を作るか」

高谷大地(右)と兄惣亮(本人提供)

<レスリング:全日本選抜選手権>◇第2日◇17日◇東京・駒沢体育館◇男女8階級

男子フリースタイル74キロ級で高谷大地(27=自衛隊)が優勝し、世界選手権(9月、セルビア)代表を決めた。昨年末の全日本選手権に続く優勝で、選考条件を満たした。

「自分の試合は面白いと言ってくださる方が多いんですが、僕がやるべきことをやらないといけないと思ってました」。いつも明るく、サービス精神旺盛な高谷の様子が、これまでとは違った。

「やるべき事は3つです」。1つ目は「相手に合わせない」、2つ目は「その中で持ち味を出す」、3つ目は「派手な技にこだわらない」。敗戦の一因は大技を狙ってかけきれないで返されること。そんな分析を徹底し、3カ条を肝に銘じていた。

木下貴輪(クリナップ)との決勝は、第2ピリオドに3-2の1点差に迫られるが、「落ち着いていた」と焦りはない。逆に5-2と引き離して勝負を決めた。

試合ぶり、その後の言動の違いを聞くと、「五輪後に自分に目を向けたんです」と教えてくれた。

自身も国内トップ選手で、世界選手権代表歴もあるが、これまでの立場は「兄貴の弟」。兄惣亮は五輪3大会出場で、世界選手権銀メダルなどの実績を残す。昨夏の東京五輪までは、自ら進んで兄のサポートを続け、「弟」という立場が大きかった。

「兄貴離れです。誰かの脇役よりも、いかに自分の物語を作るか」。競技人生も終盤。あらためて、自らを見つめ直した。仲たがいしているわけではなく、いまも仲は良い。練習をともにする時もある。ただ、もう誰かの物語の登場人物の一人ではいるつもりはない。

主戦だった65キロから増量し、2年以上が経過した。肩回りなどに、明らかな厚みの違いがある。「74の体になってきましたね」。そして、いまは何より心が違う。己が物語をこれから作る。