【フェンシング】山田優が全日本選手権男子エペで3年ぶりVならず 準決勝で加納虹輝に敗れる

男子エペで3位となりフェンシング協会武井会長(右)と記念撮影する山田(左)と見延(撮影・滝沢徹郎)

<フェンシング:全日本選手権(個人)>◇8日◇第1日◇男子エペ◇予選プール~準決勝◇東京・駒沢体育館

昨夏の東京オリンピック(五輪)男子エペ団体で、日本悲願の金メダル獲得に貢献した山田優(28=山一商事)の3年ぶり3度目Vはならなかった。

準決勝で、同じ金メンバーの加納虹輝(24=JAL)に10-15で惜敗した。

この日は予選プールを6戦全勝で第1シード。初戦の2回戦で松浦碧也(愛媛ク)を15-3で圧倒し、3回戦でも村山健太郎(テレンプ)を15-8で退けた。準々決勝では弓長昇主(愛知・愛工大名電高)を15-4で圧倒した。

5日に「上月スポーツ賞」を受賞した際に「昨年の全日本は、金メダル直後の重圧などもあったのか(準々決勝で波乱の)敗退となってしまった。今年はしっかり勝ち上がりたい」と燃えていた通り、まずは準決勝へ進んだ。

加納との大一番。序盤は長く時間をかけて3-3と競り合う展開が続く。今大会に向けて「相手と見合わないようにしたい。自分のプレーが出せなくならないように、見合わずに攻めていく」と話していたが、やはり日々の練習や遠征で手の内を知り尽くす後輩だけに、互いに慎重になった。

駆け引きの中でポイントを失い、リードを奪われると、攻めるしかなくなる。それは加納のスタイルに合わせる形になる。中盤に5-12と突き放された。終盤に意地は見せたものの、最後は無念の同時突きで10-15。時間も消費された中で反撃はしたが、及ばなかった。

試合後は、悔しさは隠して冷静に展開を分析した。

「準決勝に行くまでは自分らしいプレーができましたが、事前に注意点と挙げていたにも関わらず、加納選手と見合ってしまった。リードされると、もう彼の守りは世界一ですから。堅い上にサイズの違いもあって攻められない。なるべくしてなった結果かな」

7月には世界選手権カイロ大会の団体で日本初の銅メダル。表彰台に立った勢いは代表対決で止められて3度目の優勝を果たせなかったが、わずか2日後に佐賀県で試合が控え、今年11月からは国際大会が再び始まる。

個人でも金メダルを目指す24年パリ五輪へ、来年5月には選考レースも幕が開く。国内で味わった悔しさを糧に、勝つべき要所は締められるように、日本のエースは底力を蓄えていく。【木下淳】