【ジャンプ】高梨沙羅が今季初優勝 自身の最長記録を更新する6連覇「方向性が見えてきた」

女子ノーマルヒルで優勝し表彰式で記念撮影する高梨(撮影・滝沢徹郎)

<ノルディックスキー:全日本選手権・ジャンプ>◇女子ノーマルヒル◇21日◇長野・白馬ジャンプ競技場◇ヒルサイズ=HS98メートル

18年平昌オリンピック(五輪)銅メダルの高梨沙羅(26=クラレ)が、自身の最長記録を更新する6連覇を達成した。合計212・9点で国内外通じて今季初優勝。1回目に88・5メートルを飛んで首位発進し、最後に登場した2回目も89メートルとそろえた。通算8度目の大会制覇も自身の歴代最多を更新。再挑戦の26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪へ好スタートを切った。

高梨は笑顔だった。「バランスが崩れたことが反省点」と引き締めながらも「ようやく自分のジャンプの方向性が見えてきた。次につながる」と頬を緩めた。

2回とも安定してK点(90メートル)の手前まで。3位の丸山希(北野建設)と2位の伊藤有希(土屋ホーム)が2回目に90メートル超の飛躍を見せても、動じることなく1回目のリードを守って2位に9・9点差をつけた。

今季初Vには「まさか優勝できるとは思っていなくて。この白馬で、穏やかな方たちにお世話になりながら、リラックスしながら、合宿ができたおかげ。楽しく飛べました」と長野に感謝し、応援に来てくれた人たちに笑みを振りまいた。

目指すジャンプの方向性とは。

「飛び出しの時、どうロスなくテイクオフして進んでいくか。アプローチで踏み込む場所、Rの抜け(助走の曲走部分を抜け、直走部分に入ってからの滑走)を試しながら、空中姿勢を維持して後半に浮力を得られるように。男子並みのジャンプも必要になってくるので、ストローク、スピード感も大事にしたい」

試行錯誤しながら、W杯歴代最多の63勝を誇るジャンプを見つめ直している。

スーツ、スキー板、ブーツの規格など今季ルール改正がなされたことへの対応だ。「大きな変更で同じスキーが使えなくなったり、スーツも変わったり。ゼロからジャンプを作り始めました」。その到達度は登山でいう何合目か問われると「まだ、この山を登るって決めたくらいですかね」と笑ったが「ようやく方向性が見えてきた」と重ねて強調し、再構築の序盤ながら充実感をにじませた。

2月の北京五輪ではノーマルヒル、混合団体ともに4位。特に団体では、自身のスーツ規定違反でメダルを逃し、涙が止まらなかった。SNSでは真っ黒の画面で謝罪した。

日本からは激励の声が多く届いたが、すぐ海外に転戦し、迎えた3月の前シーズン終了時も進退に関する明言だけは避けていた。

変わったのは初夏だ。5月に秋田・鹿角でジャンプ練習を再開。純粋にジャンプが好きという気持ちが湧き「まだまだ終わっちゃいけないような気がした」と前を向いた。6月にSNSで現役続行を表明。そして4度目の五輪へ、新たな4年間の再出発となる22-23シーズン初優勝を飾った。

まずは23日のラージヒルに向けて「今日の反省点を引きずらないよう、今は結果より自分のジャンプに集中したい」。29日のUHB杯と30日のNHK杯(ともに札幌大倉山)への出場も予定しており、その翌週には早くも今季W杯開幕戦(11月5日開幕、ポーランド・ビスワ)を迎える。

「サマーと変わらない意識で目の前の試合に集中したい。(全日本6連覇を)冬シーズンへのモチベーションにしていきたい」

来年2月開幕の世界選手権(スロベニア)も見据えながら、白馬での今季1勝目を、再び浮上するための踏み台にした。【木下淳】