【沢木敬介】本気のイングランド&フランスに防御どこまで通用するか、キッカーも重要/遠征展望

日本対ニュージーランド 試合後、ニュージーランドに惜敗し、健闘をたたえ合う日本代表の選手たち(撮影・狩俣裕三)

ラグビー日本代表(世界ランク10位)は12日午後3時15分(日本時間13日午前0時15分)、欧州遠征「リポビタンDツアー2022」第1戦のイングランド(同5位)戦(英ロンドン)に臨む。

23年W杯フランス大会で1次リーグ同組となる強豪との対戦成績は9戦全敗。15年W杯イングランド大会で、日本を南アフリカ戦での歴史的初勝利に導いたエディー・ジョーンズ監督(62)が指揮する。

遠征第2戦は20日、W杯で日本のキャンプ地となるトゥールーズで、過去1分け11敗のフランス(同2位)と対戦。試金石となる2試合を前に、15年W杯では日本代表のコーチングコーディネーターとしてジョーンズ監督を支えた、沢木敬介氏(47)が分析した。

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イングランドは本気で勝ちに来る。

前週はホームのアルゼンチン戦(6日、29●30)に敗れ、日本戦は負けられない。試合開始から強度を上げて、ぶっ飛ばしてくる。日本はまず、そこで流れを手渡さないことが重要だ。

イングランドは、アルゼンチン戦が今秋の初戦だった。所々かみあっていないところが見受けられた。だが、そういった部分は修正してくるはずだ。日本はニュージーランド(NZ)戦(10月29日、31●38)のように点差はもちろん、メンタル面でもプレッシャーをかけ続けることができれば、試合は面白くなる。

キーポイントはいくつかある。

まずはセットプレー。ここが崩れたら戦えない。イングランドはこだわってくるだろう。日本はNZ戦でラインアウトが安定していた。身長201センチのロック、ワーナー・ディアンズが入ることで防御時にもプレッシャーをかけることができていた。スクラム、モールを含めて、テストマッチで勝つために、セットプレーは本当に重要になっている。

次に中盤の攻防だ。自陣の22メートル以内に入れたくない。そのためには相手にボールを持たせる位置が重要になる。NZ戦で機能していた中盤での防御ができれば、相手はキックで崩しにくる。

このハイボールに対応することができるか。ボールの再獲得に成功すれば、やりたいゲームに持ち込める。日本はキックの使い方、ゲームプランを選手がしっかりと理解している。中盤でもみ合わず、早めの段階からキックを蹴り、エリアを前に進めることができている。

気になるのはペナルティー。前提として確実に防御は良くなっている。防御時にラインスピードを上げられていることが大きい。一方、それがラインオフサイドにつながることがある。これは減らしたい。

自陣での反則はPGの3点につながる。パワフルなランナーたちも怖い。イングランドはアルゼンチン戦でもCTBオーウェン・ファレル主将が7本蹴り、ゴール成功率100%。規律も大切になる。

楽しみなのは準備された攻撃だ。イングランドはアルゼンチンに対し、ラインアウトからの展開で、1発でトライを取り切られるシーンがあった。

日本もNZ戦ではフェーズを重ねずにトライを取ることができた。クリーンな突破が多かったのも、しっかりと準備をしてきたプレーができている証拠だ。相手陣でのカウンターや、ターンオーバーから、3フェーズ以内でトライを取り切れるチャンスがあると感じる。

第2戦のフランスもけが人を除いて、恐らくベストメンバーで来るだろう。

日本が2連敗した7月のテストマッチとも様変わりするはずだ。スピードがある選手がたくさんいる。日本の防御がどこまで通用するのか、いいテストになる。

日本のキャンプ地であり、W杯1次リーグのチリ戦、サモア戦が組まれたトゥールーズで、試合ができることは本当に大きい。

もちろんベテランがサポートすると思うが、若い選手も多い。トゥールーズが初めての選手もいる。芝生の感触はもちろん、キックを蹴るにしても、スタジアムによって景色が違う。

やったことがないグラウンドなのか、1度体験しているのかで、大きな違いがある。アウェーできちんと自分のパフォーマンスが出せるのか、若い選手にとって、これ以上ないチャレンジになる。

最後にプレースキック。世界の強豪「ティア1」には優秀なキッカーがいる。相手は自陣で反則をした場合に、それが3点につながるというプレッシャーを受ける。15年W杯では五郎丸歩、19年は田村優がきっちりとその役割を担っていた。

PGを要所で決められるキッカーが必要になってくる。日本であればテストマッチの経験が少ないSO山沢拓也、李承信などが、現時点では担うことになる。イングランド戦先発の山沢に関しても精度はいい。それをプレッシャーがかかったり、アウェーの地で貫けるのか。自らにかかるプレッシャーをコントロールし、力を発揮するテストの意味でも、この2試合が持つ意味は大きい。(横浜キヤノンイーグルス監督)