北島康介さん実家精肉店が閉店 午後10時半まで名物メンチカツ求め行列「感謝しかない」

閉店する実家の精肉店「北島商店」で店頭に立つ北島康介さん(右)。左は駆け付けた後輩の塩浦慎理(撮影・近藤由美子)

競泳男子平泳ぎで2004年アテネ、08年北京オリンピック(五輪)連続2冠の北島康介さん(40)の実家の精肉店「北島商店」(東京都荒川区)が1月31日、77年続いたのれんを下ろした。長蛇の列が続き、北島さんも午後2時過ぎから急きょ販売を手伝った。「最後だからね。ここで育ったから」。店内をしみじみと見回した。

客足は途絶えず、店を閉めたのは閉店予定時間から約4時間半後の午後10時半ごろ。店では名物のメンチカツを約1000個用意したが、さらに約1000個作って対応した。北島さんは「これだけの人が買ってくれたら、店を閉じなくて済んだかも」と大勢の人に驚きながらも「感謝しかないです」と話した。閉店までの約8時間半、店頭に立ち、買い物客との記念撮影にも笑顔で応じた。

北島さんの伯父にあたる保男さんと、長年店を守ってきた父富士男さん(76)は「さびしい思いはあるけど、ここまでよく頑張ったと思う」とすがすがしい表情。閉店の日に、丁寧に接客し続ける息子の姿に「気持ちを分かってくれて、来てくれてやってくれた」と感謝した上で「何も言えねぇ」と笑顔を見せた。

大勢の人が閉店を惜しんだ。競泳東京五輪日本代表の塩浦慎理・タレントおのののか夫妻も長女を連れて訪れた。塩浦は「実はメンチカツを食べるのは初めて。最初で最後ですが、楽しみです」と話した。

店の近所に住む30代の会社員女性は長男(4)の手を引いて列に並んだ。長男の水泳へのモチベーションを上げようと、毎週水泳教室帰りにメンチカツを買い求めていたという。「息子は『金メダルを取りたいな』と話すようになるなど、刺激になったみたいです。閉店なんてさびしいですよね」と残念がった。また、「約3時間待ちました。ようやく買える!」と喜ぶ家族連れの姿などもあった。