【フィギュア】三浦佳生4大陸選手権最年少V「羽生選手は常に高みを目指していた」視線は五輪へ

男子史上最年少優勝を遂げ、喜びを爆発させる三浦佳生(左)と佐藤紀子コーチ

<フィギュアスケート:4大陸選手権>◇11日(日本時間12日)◇米コロラドスプリングズ=ブロードモア・ワールド・アリーナ◇男子フリー

【コロラドスプリングズ(米コロラド州)=木下淳】ショートプログラム(SP)首位の三浦佳生(オリエンタルバイオ/目黒日大高)が17歳8カ月での、大会史上最年少優勝を成し遂げた。

17年大会ネーサン・チェン(米国)の17歳9カ月を更新。SPに続きフリーも1位の完全Vで、自己ベストの合計281・53点をマークした。昨年の本大会では銅。「優勝しか狙っていない」との宣言通り、高校2年生にして欧州を除く4大陸の頂点に立った。

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三浦が沸騰する本場を支配した。前滑走で、引退するカナダの伝説メッシングが30歳にして自己記録。沸く場内に、のまれるどころか「残り30秒まで演技を見ていました。めちゃめちゃホット。いい流れをもらえそうだなと」。優勝にはフリーの自己ベストを5・45点、更新する必要がある。追い込まれた敵地、標高は1800メートル超。酸欠を覚悟して滑りに緩急をつけた。全7回のジャンプを着氷して11・40点も更新。当地のチェンより1カ月早い優勝を、大歓声で祝福された。

会見でも米メディアの人気者になった。いきなり切り出す。「今日、衣装を忘れてきてしまって」。本番では人生初の失念に演技50分前に気付き「マジで焦ったけど、たくさんの方の力で衣装が届いてパワーをもらって。お客さんも、前に滑った(佐藤)駿やメッシング選手も、全員の力が集まった最終形態が先ほどの演技。もう『パワー爆発』みたいな」。英訳されると会見場が爆笑に包まれた。

さらに演目「美女と野獣」について「あなたはどちら?」と聞かれると「今日のビューティー(美女)は(高地で)最後、僕の横に現れたぐらい。そもそも僕には美の成分がないので、ビースト(野獣)の方が似合っているかな」と再び“佳生節”で爆笑を誘った。

お調子者に見えて実力は本物だ。今季は2種3本の4回転を武器に、昨年10月のグランプリ(GP)シリーズで2戦とも銀メダル。ファイナルに初出場した(5位)。今回が国際A級大会初制覇。シニア本格参戦1年目の快挙だった。一方でインターハイ優勝や今月末の世界ジュニア出場など飛び級の立場でもあった。

夢の早さの進化。3年前の20年ソウル大会では羽生結弦さんが優勝し、スーパースラム(世界主要6冠)を達成し、親友の鍵山優真が3位だった。当時、三浦は中学2年。「別次元にいるな」。漠然と「近づきたい」と思っていた14歳が3年後に史上最年少V。「憧れの羽生選手が取ってきた大会を自分も1つ取れてうれしいけど、満足しているようではダメ。羽生選手は常に高みを目指していた」。視線は26年五輪へ「今日をきっかけにミラノ(・コルティナダンペッツォ)を目指せれば」。次世代の日本を背負う新星が現れた。