<カーリング:混合ダブルス(MD)日本選手権>◇25日◇北海道稚内市・みどりスポーツパーク◇準々決勝
地元を沸かせ続けた2人の快進撃は、準々決勝で止まった。
北海道・稚内市に拠点を置くチーム「育英館大」は、同大卒業生の稲場滉人(23)と同大4年の奥山美佳(22)の2人によって構成される。予選リーグを4勝2敗とし、C組3位からプレーオフを勝ち上がって8強へ進んだ。
準々決勝では、前回準Vの「チャッスーペア」こと松村千秋(30)谷田康真(28)組と対戦した。
黒縁メガネがトレードマークの稲場は、試合前にさわやかな声で意気込んでいた。
「ここからはトップの名のある選手しかいない。僕たちは無名なので、ぶつかっていく気持ち、前のめりに戦う気持ちで臨んでいきたいと思います」
ぶつかっていく。前のめりに。
松村千・谷田組との一戦は、その言葉を体現する試合だった。序盤から的確なショットを続ける。強豪相手に第4エンド(E)終了時点で3-3と互角の勝負に持ち込んだ。
ただ、相手が一枚上手だった。後半はアイスに対応され、引き離された。
3-7で準々決勝敗退。悔しさをにじませつつも、温かな表情で日本選手権の舞台を去った。
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2人は南富良野高の先輩と後輩でもある。
奥山は小学3年から競技を始め、高校時代には全国高等学校カーリング選手権で優勝も収めた。
一方の稲場は高校で競技と出会い、今は稚内カーリング協会に勤務する傍らで、競技を続けている。
今季からペアを組み、1月の北海道選手権で準優勝。日本選手権へと駒を進めた。
今大会の開催地は日本最北端のカーリング場、稚内市みどりスポーツパーク。2人は日頃から、ここで練習に励んできた。稲場が「週に3回ほど、都合が合えば2人で練習しています。夜が多いので、午後6時半から同9時くらいまで2時間半くらいやっています」と説明したように、地道に技を磨いてきた。
鍛錬の成果は試合でも現れた。開幕2連勝で迎えた1次リーグ第3戦。藤沢五月(31)山口剛史(38)組と対戦し、7-8の大接戦を演じた。「私たちは(石が)曲がる前に先にスイープをして、曲がりすぎないようにしています」と明かした奥山。正確なアイスリーディングに努め、第7E終了時点ではリードも奪った。
その実力はオリンピアンをうならせた。藤沢は刺激を受けていた。
「すごく上手で、私たちのちょっとしたミスに対してしっかり決めてくる。良かった部分をまねしたいです」
2人の自信にもつながった。
稲場が「相手選手のすごいプレーに圧倒されつつも、自分もそれに呼応するように力が発揮できた」と笑顔を見せれば、奥山も「地元開催で頑張らないといけないと思っていたので、それが発揮できたかなと思います」と静かに誇った。
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1次リーグ中盤。今後を問われた稲場は、ふわりと笑ってこう答えた。
「今回次第ですね。今大会でどこまでいけるのかを見て、決めていこうかなと思います」
その斜め後ろで奥山もほほえんでいた。
試合を重ねるにつれて、存在感が増した2人。取材のたびに「ベストを尽くせるように」と繰り返し、真摯(しんし)に一投と向き合った。
準々決勝で敗退となった時。健闘を続けた2人を、地元の関係者によるねぎらいの拍手が包んでいた。