ラグビーのリーグワンは5月13~14日、東京・秩父宮ラグビー場でプレーオフ準決勝が行われる。24日、出場4チームの選手が都内で記者会見し、初進出となった4位横浜(旧キヤノン)の南アフリカ代表SHファフ・デクラーク(31)が“前哨戦”で存在感を放った。
19年W杯日本大会で長髪をなびかせ、母国を優勝に導いた世界的スターが、前回王者の1位埼玉(旧パナソニック)撃破を目指す。東京ベイ(旧クボタ、2位)と東京SG(旧サントリー、3位)も初優勝を狙う。
◇ ◇ ◇
きらびやかなステージ上でも、デクラークの“嗅覚”は抜群だった。横浜の同僚である主将のCTB梶村とともに向き合ったのは、準決勝で戦う埼玉のフッカー坂手主将、SO松田。司会者に「対戦相手に質問を」と振られ、梶村が「イーグルス(横浜)を崩すために、どこをターゲットにしているのか」と投げかけた。まずは即座にかぶせた。
デクラーク グッドクエスチョン(いい質問)!
受け取ったのは相手司令塔の松田だった。9月に開幕するW杯フランス大会で日本代表SOとして期待される男は、試合のキックの攻防同様に手ごわい。「梶村選手がダミアン・デアレンデを、どれだけ止められるか」とユーモアたっぷりに返してきた。CTBデアレンデは、梶村の対面が有力な南アフリカ代表。190センチ、105キロと大柄で、181センチ、95キロの梶村はサイズで劣る。その難しい“返球”を処理したのは、頼もしいデクラークだった。
デクラーク はい、イージー(簡単)ね。めっちゃ、イージー。
チームの柱は日本語を交えて、味方の“窮地”を救った。19年W杯日本大会決勝ではデアレンデとともに先発し、南アフリカの優勝に貢献。身長172センチと小柄ながら、世界の大男たちに的確な判断、正確なスキル、そして負けん気の強さで挑む姿が日本でも注目を集めた。今季から横浜に加入し、チームは初めてのプレーオフに進出。埼玉とは1月28日の第6節で対戦し、最終盤に逆転を許して19-21と惜敗した。梶村自身も準決勝のキーマンにデアレンデを挙げ「彼を止めることができれば、自分たちに大きなチャンスが回ってくる」と奮い立った。笑顔から勝負師の表情になったデクラークも言い切った。
デクラーク 埼玉は結束力が強く、ゲームプランの遂行力が高い。システムを崩さないといけない。ビッグゲームで、楽しい試合。自分も楽しみにしている。
泣いても笑っても、残り2試合。最高の準備で王者に立ち向かう。【松本航】
○…埼玉SO松田が無念を晴らす。昨季はリーグ最終戦の東京ベイ戦で左膝を痛めて長期離脱。プレーオフは病室や自宅で見守り「あの場所に立ちたかった思いが強い」と振り返った。今季は昨年12月の開幕節で復帰。同い年のSO山沢拓と攻守で仲間をけん引してきた。2連覇へ「ワイルドナイツのラグビーをすればタイトルを取れる」と誓い、自信を胸にピッチに立つ。
○…東京SGが名将の助言でリベンジする。15年W杯で日本代表を率いた現オーストラリア代表監督エディー・ジョーンズ氏が、前日23日の練習試合を見学。チームにはアドバイザーとして在籍しており「チャンピオンになるならスタッフも、選手もハードワークをしないといけない」と強調された。共同主将のフッカー堀越は「チームの雰囲気も締まった感じがした」。リーグ戦では今季2戦2敗の東京ベイ相手に意地を見せる。
○…東京ベイはリーグ2位16トライと売り出し中のWTB木田が、準決勝でのハットトリックを誓った。大阪・関西大倉高、立命大を経て昨年入団した24歳は今季、日本代表首脳陣にも注目される存在。東京SG戦は開幕節2トライ、最終節1トライで、ともに勝利に貢献した。最多トライのWTB尾崎晟(東京SG)とは2トライ差で「(22日東京SG戦で)3トライ取ればトライ王になれた。次はハットトリックして貢献したい」と強気に意気込んだ。