【フェンシング】日本史上初の団体金メダル!男子フルーレが韓国や中国を連破し世界選手権初優勝

フェンシング世界選手権の男子フルーレ団体で初の金メダルを獲得し、誇らしげに掲げる日本代表。左から松山恭助、敷根崇裕、飯村一輝、鈴村健太(C)日本協会/Augusto Bizzi/FIE

<フェンシング:世界選手権>◇30日◇最終日(第9日)◇イタリア・ミラノ◇団体

男子フルーレが、日本の団体史上初となる金メダルを獲得した。決勝で中国との接戦を45-35で制した。

27日の個人で自身初の銅メダルに輝いた主将の松山恭助(26=JTB)や21年東京オリンピック(五輪)個人&団体4位の敷根崇裕(25=ネクサス)に、世界ジュニア王者の飯村一輝(19=慶大)と鈴村健太(24=大垣ケーブルテレビ)が融合したメンバーで、初の世界一に挑戦。準々決勝でライバル韓国に45-41、準決勝で香港に45-35で勝って、この時点で歴史を塗り替える初の決勝に駒を進めた。

団体は5ポイント×9セットで45点を先取するか、試合時間3分×9セットが終了した時点で多く得点していたチームが勝つ。初のファイナルは松山、敷根、飯村の3人がアジアの宿敵でもある中国と一進一退の攻防を繰り広げ、最後はアンカー敷根がマッチポイントを奪って叫び、仲間と抱き合った。鈴村も準決勝までの勝ち上がりに大きく貢献した。

松山「新しい歴史を作れたことがうれしいです。チーム全員、良いフェンシングができたことが結果につながったと思います」

敷根「史上初の金メダル獲得とてもうれしいです」

飯村「このチームで金メダルを取れたことがすごくうれしいです。途中試合で苦しい場面もありましたが、先輩たちが良いプレーでカバーしてくれましたし、後半につれて伸び伸びプレーできました」

鈴村「うれしい以外の言葉が見つからないです。やったぞー!」

男子フルーレの団体は10年パリ大会の3位(太田雄貴、千田健太、淡路卓、三宅諒)が過去成績。この4人は12年ロンドン五輪の団体で銀メダルに輝いたが、レジェンド太田氏らチームの黄金期でも届かなかった五輪および世界選手権の頂点に、初めて立った。

その太田氏は国際連盟の理事として現地で見守り、表彰式では後輩たちにメダルを授与した。「世界選手権優勝!!! 史上初の快挙!!! 本当にすごい!」と興奮のツイートが快挙を物語っていた。

他種目では、男子エペ団体が一昨夏、東京五輪で日本悲願の金メダルを初めてつかんだが、世界選手権は昨年の銅メダルが最高だった。個人では15年モスクワ大会で太田氏が日本男子唯一の優勝を果たし、女子はサーブルの江村美咲(24=立飛ホールディングス)が今大会、男女を通じて日本勢初の2連覇を遂げた。

しかし、団体は全種目を通じて初の制覇。宿願を成就した選手はピスト(競技コート)上で喜びを爆発させ、笑顔で金メダルの日の丸を掲げた。

フルーレは日本の「お家芸」。29日には女子の団体(菊池小巻、上野優佳、東晟良、宮脇花綸)が銅メダル。07年ロシア・サンクトペテルブルク大会以来16年ぶりの復活だった。6月のアジア選手権では男女とも3連覇。開幕まで1年を切ったパリ五輪の出場権獲得へ、最も選考ポイントの高い大会で結果を出し、男子は世界ランキング1位に浮上した。

松山「これからもパリへ向けて大会も続くので、まずは休んで、また強い日本を見せたいと思います」

敷根「この調子で来年のオリンピックも優勝できるように頑張ります」

飯村「この団体金メダルを糧に来年のパリまで駆け抜けたいと思います」

鈴村「ゴールはここではないので、僕たちの目標のオリンピックで金メダルを取るために、新シーズンを戦い抜きたいと思います」

団体も個人も、今後は全日本選手権などを経て国際大会を転戦。来年4月1日までの選考レースでまずは切符をつかみ、フェンシング発祥国フランスでの金メダルを目指す。【木下淳】