【バレー】オポジット西田有志「やっと戻ってきたという感覚」原因不明の体調不良から完全復調

喜びを爆発させる、左から富田、西田、石川、山本(C)AVC

龍神NIPPONがアジアの頂点に返り咲き、パリ・オリンピック(五輪)切符獲得へ弾みをつけた。

日本(世界ランキング5位)が決勝でイラン(同10位)にストレート勝ち。17年以来、3大会ぶり10度目の優勝を飾った。ネーションズリーグ(VNL)では調子の上がらなかったオポジット西田有志(23)が完全復調。力強いスパイクを連発し、チームを波に乗せた。この勢いでパリ五輪出場権ゲットへ-。同予選として行われるW杯バレーは、9月30日に初戦を迎える。

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五輪予選前最後の舞台に、誰もが待ち望んだ左のエース、西田の姿があった。「やっと戻ってきたという感覚。この感覚を忘れない。次は五輪予選なので、いい弾みになった」。優勝の瞬間、コート上でくしゃくしゃの笑顔をつくった。

これまでの鬱憤(うっぷん)を一気に吐き出すかのように、立ち上がりから全開だった。守備をはじき飛ばす強烈なバックアタックを見せたかと思えば、幻惑する技ありの軟打。第2セットにはエンドラインギリギリに代名詞のサービスエースを決め、完全復活を印象づけた。「自分が代表に入ってアジア選手権を取ったことがないので素直にうれしい」。主軸を担って立ったアジアの頂点。表彰台で、喜びをかみしめた。

世界大会46年ぶりのメダル獲得を果たしたVNLでは、1人調子の上がらない日々を過ごした。腰痛や同じ左のオポジット宮浦の好調もあり、昨年の同大会でサービスエース数全体2位をマークした男が、途中交代やスタメン落ちも経験。「メンタル的にしんどいことが多かった」と焦燥感をつのらせた。

そんな状況でも、勝利だけを考えた。「自分がうまくいってるかいってないかとかそんなことは関係ない」。ポジションを争う宮浦にも「戦っている気持ちはない」とはっきり言った。自分が出場していない時も「常に2人で話している」と助言を送り合い、献身的にチームを支えてきた。

ベスト8入りした東京五輪後の21年夏にイタリアリーグへ移籍。世界トップレベルで経験を積み、昨年6月にVリーグに復帰した。だが、同10~11月末にかけて原因不明の体調不良を発症。発熱や悪寒などでリーグ戦も約1カ月間欠場し「モチベーションも何もない。バレーどころじゃなかった」とどん底も味わった。

状態は必ず上向くと信じ「納得のいくまで練習をする」と、前だけを向いてやってきた。代表では副キャプテンを担い「ここに集まっている人は1人1人にプロとしての意識がある。それがなくなれば死ぬも同然」と、なみなみならぬ覚悟がある。五輪予選まで残り1カ月。パリへのラストピース、西田が帰ってきた。【勝部晃多】

 

◆西田有志(にしだ・ゆうじ)2000年(平12)1月30日、三重県いなべ市生まれ。5歳で競技を開始。大安中から海星高に進み、17-18年シーズンにジェイテクト入団。18年に日本代表入り。19年W杯では4位に貢献。ベスト8入りした東京五輪後の21年夏にイタリアへ移籍し22年6月にジェイテクト復帰。同年12月31日に女子代表の古賀紗理那との結婚を公表。今季からはパナソニック。186センチ、87キロ。

 

【パリ五輪への道】

出場枠は開催国フランスを含む12。9~10月に開催される五輪予選のW杯バレーは、世界ランキング上位24カ国が8カ国ずつ3組に分かれ、日本など3都市で対戦。各組上位2カ国の計6カ国が出場権を獲得する。残る5枠は、来年のVNL予選ラウンド終了時の世界ランキングにより決定。W杯バレーで出場を決めた6カ国+フランスを除く世界ランキング上位5カ国が出場権を得る。日本がW杯バレーで獲得を逃した場合は、来年のVNLに出場し、ランキングのポイントを重ねていくことが必要となる。