安藤美姫さんコーチで全日本デビュー!教え子田内誠悟「それなりに自信があった」フリー進出

男子SPの演技を終えた田内(手前)とハグする安藤コーチ(撮影・滝沢徹郎)

元世界女王で五輪2大会に出場したプロスケーターの安藤美姫さん(35)が、メインコーチとしての全日本デビューを飾った。

10月から本格的に指導するジュニアの田内誠悟(15=富士FC)が63・89点を記録。上位24人に入り、23日のフリーへ進んだ。愛知・城山中3年で、今年2月の全国中学校大会を制したホープと目指すのは世界の大舞台。コーチと振付師の“二刀流”で向き合い、二人三脚での歩みは続く。宇野昌磨(26=トヨタ自動車)は104・69で首位、鍵山優真(20=オリエンタルバイオ/中京大)は3位で発進した。

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安藤コーチの足取りは、自然と軽くなっていた。演技を見終え、小走りで向かったリンク出口。田内と抱き合うと、普段通りの明るい口調で尋ねた。「緊張した?」。安堵(あんど)する教え子から「緊張しました」と答えが返ってきた。

第1組の3番滑走。田内は名前をコールされると、信頼する師と右手でハイタッチした。「すごく楽しみだね」。そんな声で背中を押してくれたコーチが振り付けた「Hidden Machinations」に乗り、フリップ-トーループの連続3回転を着氷させた。3回転ルッツ、ダブルアクセル(2回転半)を降りると「ベストではなかったけれど、ジャンプ3つ、転倒などせずに終えることができた」。2年連続2度目の大舞台をかみしめた。

もどかしい時期、寄り添ってくれたのが安藤コーチだった。10月、ジュニアグランプリ(GP)シリーズ大阪大会後の節目で、メインコーチへの就任を依頼した。リンク内外で行動をともにすることが増え、落ち込んだ時にも親身に話を聞いてくれた。11月中旬の全日本ジュニア選手権は6位。今大会に向かう過程で印象的なやりとりがあった。

田内 美姫先生は「スケートの先生になりたい」と思ってスケートを始めて、僕がずっと見る生徒の第1号。それなのに毎日、全然ダメな練習ばかりをしてしまって、ごめんなさい。

安藤コーチ 大丈夫だよ。私は誠悟の先生になれて、すごく幸せだよ。

その言葉に救われた。ジュニアからの推薦出場。全日本選手権はSP通過を最初の目標とし、ミスなくプログラムを通すことを毎日のノルマにした。滑りこんだことで「それなりに自信があった」と前を向けた。

23日には選ばれし24人のフリーに臨み、以降も大きな夢を持つ。かねて安藤コーチに「私と同じ景色を見せにいきたい」と声をかけられ、15歳も「自分もそういう大きな目標を持っている。毎日先生に食らい付いて、いい成績を目指して頑張っていきたいです」と志は同じ。2人の物語は始まったばかりだ。【松本航】

◆全日本選手権に同行している主な五輪経験者のコーチ

◇ステファン・ランビエルさん スイス出身で06年トリノ五輪銀メダル。02年ソルトレークシティー大会から五輪3大会出場。男子の宇野昌磨、島田高志郎のコーチ

◇カロリナ・コストナーさん イタリア出身で14年ソチ五輪銅メダル。06年トリノ大会から五輪4大会出場。今季から男子の鍵山優真のコーチ

◇ミーシャ・ジーさん ロシア出身。ウズベキスタン代表として14年ソチから五輪2大会出場。男子の友野一希のコーチ

◇佐藤信夫さん 60年スコーバレー大会から五輪2大会出場。女子の本田真凜らのコーチ

◇本田武史さん 02年ソルトレークシティー五輪4位。98年長野大会から五輪2大会出場。女子の白岩優奈らのコーチ

◇キャシー・リードさん 日本代表として弟クリス・リードさんとのカップルで、10年バンクーバー大会から五輪2大会出場。アイスダンスの吉田唄菜、森田真沙也組らのコーチ