<レスリング全日本選手権>◇第3日◇23日◇東京・代々木第2体育館
日本男子史上初の五輪4大会連続出場をかけた闘いが終わった。男子フリー86キロ級決勝で高谷惣亮(34=拓大職)が石黒隼士(自衛隊)に2-3で敗れ、パリ五輪の可能性がついえた。
雄弁ないつもと正反対な姿が、入り交じる感情を映した。試合後に振り返りを問われると、目に涙もためながら言葉を探した。1分後、「よく攻めたと思います」と絞り出した。
勝者が来年のパリ五輪アジア予選に進む大一番。6月の大会で負けている相手と対峙(たいじ)した。当時、体力面の不安などから積極性を欠いた自分を猛省。前日の準決勝までの試合でも「0点。根性なしの自分に腹が立つ」と自戒していた。
開始から幾度もタックルのモーションに入った。敵のカウンター狙いにも臆さず、足元へ突っ込んだ。第2ピリオド、タックルを外されて場外に押し出され、リードを奪われて敗れた。マットに手をたたきつけたが、監督を務める拓大の教え子たちが客席から見つめる姿に、感謝して手を掲げた。
世界選手権銀メダルなど、長く日本の中量級の顔として奮闘。競技の普及を念頭にした随一の発信力でも貢献してきた。階級を変えての全日本選手権の連覇は「12」で止まったが、「自分を褒めても良いですかね?」と声を震わせた。選手は引退はしない。1つの区切りを迎えたが、まだ闘いはやめない。【阿部健吾】