<ラグビー全国大学選手権:帝京大34-15明治大>◇13日◇決勝◇東京・国立競技場
帝京大(関東対抗戦1位)が3大会連続12度目の優勝を飾った。
創部100周年で5大会ぶり頂点を狙った明大(同2位)を34-15で下した。試合中に降り続けた雪に加え、雷の影響で前半23分に55分間中断。異例の展開の中、2トライのフッカー江良颯(4年)を中心に強力FWが前進を続けた。最上級生は新型コロナウイルスが世界的に拡大した20年春に入学。部員約140人が一致団結し、連覇のバトンを次に託した。
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夜空から降り続ける雪は風に揺られて渦巻き、国立の芝へ落ちた。吐く息は白く、足場が緩む。それでも帝京大は動じない。12点リードの後半37分、右ラインアウトからモールで前進。両足をつった江良がインゴールへ飛び込むと、仲間が次々乗りかかってきた。「ここで取れば、試合が決まると思っていた。みんなが喜んだ姿を見るとうれしかった」。足を引きずりながら途中交代すると、優勝の瞬間をベンチで見届けた。
「1年のプロセスは間違いなかった。『幸せだな』と実感した。今までに味わったことがない幸せで、仲間に感謝しかないです」
雪は想定内でも、雷の連続までは予想しなかった。7-0の前半23分に中断。ロッカー室に引き揚げると、前監督の岩出雅之顧問に「本当は(前後半)80分で終わるところが延びた」と声をかけられた。「もう1回、この仲間とラグビーができることをかみしめた」。14-12で折り返した後半は相手陣に入り、FB山口の正確なPGで加点した。全員が自らの持ち場で、仲間のために力を尽くした。
4年前の入学時、そこに“日常”はなかった。コロナ禍で4月7日に緊急事態宣言が出されて一時解散。再集合は7月となり、A~B(1~2軍)、C~D(3~4軍)は活動時間から全て分かれた。1年時から主力だった江良は、同学年の仲間との関係性を「3年間ともに歩んできた仲ではなかった」と振り返る。投票で主将になると、各学年のリーダーとの3日間の話し合いで「ONE HEART(心1つ)」を目標に定めた。岩出顧問には「前を見るのも大事だけれど、後ろには仲間がたくさんいる。12月31日までは、後ろを見ていていいよ」と助言され、その意味を考えた。
関東対抗戦で強豪との対戦を控えた11月。チームビルディング委員長のプロップ津村が呼びかけ、4年生全員で東京・調布市の居酒屋に集った。C~Dチームの仲間から「もっとA~Bも片付けをしてほしい」と聞き、酒を手に本音をぶつけ合った。決勝前日の最終調整前。強風で練習場に飛び散った落ち葉をメンバー外全員が掃除していた。皆の視線が日本一に向いた。
「最後に全員が観客席から降りてきて、下で喜んでいる姿を見た。『ONE HEARTになれたな』と思い、涙が出てきました」
中心に江良がいた。国立に響いたのは、腹の底から喜ぶ声だった。【松本航】