【今泉清】雪で滑るボール「想定外」を想定したか 帝京大「勝つために」日々の過ごしで明大に差

帝京大対明大 優勝を果たし歓喜する帝京大の選手たち(撮影・横山健太)

<ラグビー全国大学選手権:帝京大34-15明治大>◇13日◇東京・国立競技場◇観衆1万8374人

帝京大(関東対抗戦1位)が3大会連続12度目の優勝を飾った。創部100周年で5大会ぶり頂点を狙った明大(同2位)を34-15で下した。試合中に降り続けた雪に加え、雷の影響で前半23分に55分間中断。異例の展開の中、2トライのフッカー江良颯(4年)を中心に強力FWが前進を続けた。早稲田大やサントリー、日本代表で活躍した今泉清氏(56)が、現地で勝負の分かれ目を見届けた。

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差がついたのは「想定外」を想定しているかどうかにあった。雪、雷による中断。帝京には、それすらも想定しているのでは…と感じさせる強さがあった。

「最高最良を期待しつつ、最低最悪に備える」という言葉がある。学生なので練習時間は両校とも大きな差はないだろう。日々、いかに勝つことを考えて準備できているか。例えば、それは1つ1つのスキルの差として表れる。

この日で言えば、前半の最後に帝京が自軍深くで雪に滑るボールを拾い損ね、得点につなげられた場面があった。ただ、後半も含めて大きなミスはこの1回。逆に明治は追い上げたい後半にセービングのミスが続いた。重圧がかかる場面、環境をイメージして基本技術の練習も怠っていない印象を受けた。

「勝つために」を追求しているかは、前半の場面でも差を生んだ。明治はペナルティーから2回、タッチキックから重量級FWでのトライを狙ったが、ともに失敗した。PGを狙わずに「明治らしさ」を追ったと見たが、はたして勝つための選択だったか。一発勝負では先制点が重要。創部100年の「らしさ」のこだわりと、勝利に必要な選択。そのバランスを欠いた。

思い出すのは昨春の野球のWBC決勝だ。1点を追う9回に米国は無死1塁で送りバントをせず、大谷翔平選手を相手に送らず打ちにいってダブルプレー。それが「米国らしさ」だが、勝つためであったか。

勝てるチャンスは平等にあった。「想定外」「らしさ」も含め、勝利のための毎日を過ごしているか否かが勝敗を分けた。(元日本代表)