【卓球】“パリ五輪切符”平野美宇「4年前は本当に卓球が嫌いで」選考レース2年間での成長示す

女子シングルス6回戦を突破し笑顔で会見に臨む平野(撮影・垰建太)

<卓球:全日本選手権>◇第5日◇26日◇東京体育館◇女子シングルス

21年東京五輪女子団体銀メダル平野美宇(23=木下グループ)が、半年後に開幕するパリ五輪シングルス代表選考2枠目をつかみとった。6回戦まで3連勝で8強入り。選考レース3番手で同い年の伊藤美誠(スターツ)が6回戦で敗退し、初の五輪シングルス代表権を確実にした。来月16日開幕の世界選手権団体戦(釜山)で、世界ランク2位の日本が8強入りすれば五輪団体出場権(3枠=シングルス2枠含む)を獲得。代表候補予定選手は日本協会が来月5日に発表する。

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待ちわびた五輪行き切符は、思わぬタイミングで手に入った。平野は6回戦で大藤沙月(ミキハウス)に4-0で完勝。記者会見場で「明日からが本番」と意気込み、引き揚げた直後にライバルの伊藤が敗れた。再び会見場に足を運ぶと、少しずつ喜びがあふれた。

「実感が完全には湧いていないけれど、決まったことは事実。前回の4年で達成できなかったシングルスの座を獲得できて、1つ自分の中で乗り越えられた」

自分の人生は自分で変える-。掲げたポリシーは貫いた。初戦の4回戦は今大会ジュニア準優勝の面手凜(岡山・山陽学園高)に3-1からフルゲーム。「『相手がミスをしてくれないかな』ではなく、自分でつかまないといけない」。最終ゲームは11-5と圧倒し、得点ごとに左拳を振った。5回戦で森さくら(日本生命)、6回戦で大藤とTリーガーの強敵を退けた。

ポリシーは2年間の選考レースで培った。22年3月の第1回選考会8位に始まり、前半戦で早くも背水の陣。相対する年下選手の勢いを受け、代名詞の速い卓球に「変えないと」と緩急を加えた。同年11月の第3回選考会では、2カ月に及ぶ入念な対策で伊藤から6年ぶり勝利。優勝で6番手から3番手に浮上し「自分でやる以外に勝ちはない。“やるかやらないか”じゃなく“やるかやるか”ぐらいの気持ち」と目覚めた。

この日、客席から「平野! 平野!」と小気味よい声援が届いた。トップ選手として五輪を目指して3大会目。8年前は補欠、3年前は団体、今回はシングルスと階段を上り、振り向けば仲間が増えていた。

「4年前の選考は最後、本当に卓球が嫌いで、毎日どうやったら現実逃避ができるか考えていた。今回は最後まで逃げずに戦えた。シングルスに出場するからには必ずメダルを取りたい。団体もメダル…、やっぱり金メダル。中国選手に五輪の舞台で勝ちたいです」

未来も運命も、自らの力で変えていく。【松本航】

◆平野と過去の五輪

◇12年ロンドン大会 当時12歳。現地で観戦し、各国選手の姿に刺激を受ける

◇16年リオデジャネイロ大会 補欠として日本代表に同行。球拾いや同い年の伊藤の練習相手を務めた。代表だった石川佳純、福原愛、伊藤のプレーで気づいたことをノートに記し、コートの間近で五輪を感じる

◇21年東京大会 シングルス代表切符を懸け、石川とデッドヒート。19年12月、ワールドツアー北米オープン決勝の直接対決に敗れ、世界ランキングの日本人2位を譲る。同年12月でシングルス出場権を逃したが、団体戦メンバーに選出された。21年の五輪本大会は伊藤、石川とともに団体戦で銀メダルを獲得。「近年は東京が終わったらやりたくないとも思ったけれど、まだまだ卓球をやりたい」

◆パリ五輪への道 最大3人が出場する。日本は約2年にわたって計6度の国内選考会や、世界選手権など国際大会に五輪シングルス代表選考ポイントを設定。今大会で選考レースは終了し、上位2人が「シングルスおよび団体戦代表候補予定選手」。残る1人の「団体戦代表候補予定選手」はシングルスで選出の2人とダブルスが組め、団体戦で活躍が期待できる選手となる。大会前時点で平野は3番手の伊藤を34・5点リード。全日本8強入りで50点以上を確定させ、6回戦敗退(16強)の伊藤は20点の積み上げにとどまった。