パリ五輪を狙う100メートルバタフライの日本記録保持者・水沼尚輝(27=新潟医療福祉大職員)が、国際大会代表選考会(17日開幕=東京)に向けた最後のレースに臨み、51秒50で優勝。タイムは自身の日本記録50秒81には及ばないものの、選考会本番に向け、手応えをつかんだ。
◇ ◇ ◇
水沼は他の泳者を寄せつけなかった。高校生、大学生を一気に置き去りに。桁違いのスピードで濃紺のスイミングキャップが前に躍り出る。県高校新記録の53秒92を出して2位に入った峠蓮人(長岡大手高)とは2秒42差。ライバルは自分自身だけだった。パリ五輪の選考会となる国際大会代表選考会の開幕は2週間後。本来なら調整期間だが、あえて公式レースで本番への仕上げを図った。「『死んでもいい』と思って泳いだ」と前半から飛ばした。
優勝タイムの51秒50は、派遣標準記録51秒43に0秒07に迫る好記録。練習の疲労を残しながらのレースだっただけに、水沼は「へろへろになりながら100%出せた。パーフェクト」と言う。22年世界選手権(ブダペスト)で銀メダルを獲得した同年10月に腰を痛め、以後は試行錯誤を繰り返した。「もがき苦しんだ」という中から昨年、上下動の小さいフォームに変えた。筋トレも持久系の筋肉強化から瞬発力、パワー系のメニューにチェンジ。水沼は「自分を信じて良かった」と新フォームに自信を深めた。
21年東京五輪に次ぐ2大会連続五輪出場をパリで目指す。力強いストロークと30センチの足が武器の水沼は「選考会は見応えのあるレースになると思うが、差し切るのが水沼」と本番のイメージはできている。「テクニックを磨く」と選考会のスタート台に立つまで、新フォームの完成度を上げる。【涌井幹雄】