【体操】パリで2連覇狙う橋本大輝が4連覇「後半はバテてしまった」とつり輪で腕がつるも圧勝 

男子決勝でつり輪の演技を終え、ガッツポーズする橋本(撮影・河田真司)

<体操:全日本選手権兼パリ五輪代表2次選考会>◇14日◇群馬県・高崎アリーナ◇男子決勝

東京五輪2冠の橋本大輝(22=セントラルスポーツ)が4連覇を達成した。首位通過した予選と決勝の得点の合計点176・164で圧勝。10連覇した内村航平以来の4連覇となった。

第1種目の床運動を15・000点の高得点で滑りだした。後方伸身宙返りのひねりを2回から3回半に増やし、Dスコアを両種目で計0・4点引き上げ、同時に最後の着地もぴたりと止めた。2連覇を達成した昨秋の世界選手権個人総合決勝では崩れた種目で、堂々とした演技をみせた。

続くあん馬も豪快な旋回で15・133点、跳馬ではロペスで完璧に近い着地を見せて15・100点。5種目目の平行棒では、演技を終えると両腕をダラリと下げて苦悶(くもん)の表情。「つったっす」「ホンマでつった」とすぐにトレーナーにケアをお願いした。最初の要素でアクシデントに見舞われながら14・766点としのぎきった。最終種目の鉄棒では技の構成を落とし、着地でも大きな乱れがあった。

「あまり連覇は意識せずに試合に臨めて、前半まではよかった。後半はバテてしまった。そこは課題」。試合後には反省が口をついた。鉄棒の演技も、演技中に腕がつり、「最後まで演技するのがしんどかったです」と振り返った。

五輪シーズンの初戦に、2種目で新たにE難度の技を盛り込んだ。団体総合、個人総合、鉄棒の3冠を目標に掲げるパリ五輪を見据えた難度を示すDスコア(演技価値点)の底上げの第1段階。「(予選、決勝の)2日間で何か手応えをつかめる演技ができたらいい」と臨んでいた。まだ体力面での練習は積んでおらず、つった事実も冷静に受け止めた。

昨年は1月に腰の疲労骨折が判明し、春先まで満足いく練習が積めなかったが、今季は「あまり痛いところもない。自信を持って演技できる」。2位以下に大差をつける別次元の演技を並べきり、フランスでの世界の頂点へと向かう。

2位は岡慎之介(徳洲会)で172・264点、3位は萱和磨(セントラルスポーツ)で171・596点だった。【阿部健吾】

 

◆体操のパリ五輪代表選考 男女ともに5人。男子は昨秋の世界選手権で個人総合2連覇の橋本大輝が内定し、全日本選手権の得点(予選と決勝の合計)を持ち点に争う5月のNHK杯(高崎アリーナ)で上位2人を選出。残り2人はチーム貢献度で決まる。女子はNHK杯の上位4人とチーム貢献度で1人が代表入りする。チーム貢献度は種目別で強いスペシャリストが有利。個人総合で選ばれた選手とチームを組んだ場合に団体総合の得点が最も高くなる選手を選び、男子の1人はNHK杯10位以内。