<柔道:全日本選手権>◇29日◇東京・日本武道館◇体重無差別
男子66キロ級で五輪2連覇の阿部一二三(27=パーク24)が初の「体重無差別」で1勝を挙げた。1回戦で81キロ級を主戦場とする佐藤佑治郎(山形県警)に背負い投げで一本勝ち。2回戦は100キロ超級の鈴木太陽(日本製鉄)に大内返しで一本負けを喫した。パリ五輪勢は100キロ級ウルフ・アロンと73キロ級橋本壮市は3回戦、60キロ級永山竜樹(ともにパーク24)は初戦で敗退。100キロ超級の香川大吾(ALSOK)が初優勝を果たした。
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阿部は3度、右腰をグッと入れた。2階級上の佐藤との1回戦。「いける!」と右足を踏み込み、一、二の三。腰を軸に相手を持ち上げ、背中から転がした。開始から「1分23秒」。初挑戦となった体重無差別の舞台で初勝利を挙げた。
約2時間後の2回戦。自身より約47キロ重い、120キロの鈴木と対戦した。残り1分、左手を2カ所裂傷し出血。「指が飛んでいくぐらい痛かった」。テーピングを固めて復帰し「判定になれば負ける。腹くくって勝負してやろう」と前に出た。大内刈りを狙うが、返された。覆いかぶさられ、押しつぶされた。重量級の重みを痛感。それでも「セコい攻めではなく、投げにいけた。負けて悔しいけどスッキリしている」。判定勝ちを狙わなかった自分を誇った。
軽量級の意地を見せた。「歴史ある全日本選手権に立ちたい」一心で、重量級との争いに飛び込んだ。通常より重い72~73キロで挑んだ。“柔よく剛を制す”は1勝止まりも「この畳に立ててすごく幸せ。やっぱり柔道が好き。僕には柔道しかない。軽量級でも重量級に戦えると見せられた」。
次戦は6月、ブダペストで行われる世界選手権に臨む。「挑戦者の気持ちを思い出した。5度目の優勝を目指す」と誓った。その先に「戦いは始まっている」と28年ロサンゼルス五輪を見据える。昨夏パリは66キロ級で2連覇も、団体戦は銀メダル。決勝フランス戦で73キロ級銀メダルのガバに一本負けした苦い記憶がある。「五輪の借りは、五輪でしか返せない」。無差別の戦いを経験し、3年後の3連覇と団体の2冠への光が差し込んだ。【飯岡大暉】