ラグビー王国のニュージーランドで最も古い歴史を持つクラブが、日本とのつながりを再構築している。
クライストチャーチクラブが設立されたのは1863年。日本は江戸時代にあたり、薩英戦争が起きたことでも知られる。
元ニュージーランド代表主将で世界的スターのリッチー・マコウ氏(44)ら、オールブラックスには30人を超える選手を輩出。現在行われているW杯イングランド大会で3連覇を目指す女子15人制代表のブラックファーンズにも、これまで多くのOGを送り込んできた。
そんな名門に、2026年から男女18歳以上が対象のアカデミーが誕生する。
6月にゼネラルマネジャー(GM)に就任したジョン・シェラットさんは「これまでに日本の多くの選手が私たちのクラブに所属し、貢献してくれた経緯があります。来年度から正式に、日本からの選手を受け入れることになりました。双方にとってポジティブな関係を構築し、1人でも多くの選手に、こちらのラグビーを経験してほしいと思っています」と新たな交流を待ちわびた。
シェラットさんには、日本への特別な思いがある。
2008年から2シーズンは、ホンダヒート(現三重ホンダヒート)でヘッドコーチを歴任。関東学院大でも指導経験があった。
クライストチャーチクラブは長く、日本のワールドと交流していた。現存するクラブハウスもその支援で建てられたが、ワールドは2009年に休部。六甲クラブのメインサポーターとなったが、チームは日本最高峰リーグから消えた。
クライストチャーチクラブの関係者には日本との縁を大切にする面々がそろい、シェラットさんは「私自身もワールドとの国際交流を経験し、素晴らしい機会でした」と振り返った。
クラブの練習は、基本的に火曜日、木曜日の週2回。土曜日に試合が組まれることが多い。日本からアカデミーに入った選手は、全体練習のない月曜日、水曜日に個人で課題を克服するメニューに励む。内容は自身で決める形をとり、コーチがつくのが特徴。英語でのやりとりとなり、語学力も自然な形で身に付けていく。
シェラットさんの右腕として、同じ時期に樫塚安武さんがクラブに戻った。
現役時代は天理高、天理大と進み、兵庫県内の高校の指導を経て、2006年に海を渡った。クライストチャーチクラブで「僕のニュージーランドのお父さんというぐらい、お世話になりました」とシェラットさんに感謝する。
ニュージーランドでの暮らしは15年を超え、今度は自身が、日本から名門クラブへとやってくる若者のサポートに入るという。
かつてはカンタベリー州のクラブラグビーリーグ戦4強の常連だったが、近年は低迷が続く。今後は試合時間を得たい選手やニュージーランドでラグビーを経験したい選手を受け入れ、アカデミーだけでなく、日本のラグビースクール、中学校、高校、社会人チームとの交流も歓迎する。
日本人留学生28人を含む185人が犠牲となった2011年のニュージーランド地震から、まもなく15年。その2026年には、3万人規模の新スタジアムが誕生する。シェラットさんは「新しいスタジアムが完成するクライストチャーチの、私たちのクラブでラグビーを楽しみましょう」と日本の若人にメッセージを送った。【松本航】
◆クライストチャーチクラブ 1863年9月に設立された、ニュージーランドで最も古いクラブ。トップチームのディビジョン1を筆頭に、若手、女子など複数のチームを抱える。主なOBはニュージーランド代表148キャップを誇るリッチー・マコウ、24年W杯フランス大会トライ王のウィル・ジョーダン、東芝ブレイブルーパス東京で活躍したマット・トッドら。