【ハンドボール】最高峰リーグH開幕!タレント軍団ジークスター東京“33%”で悲願初V目指す

パリ・サンジェルマン戦でシュートを放つ元木博紀(撮影・小島史椰)

ハンドボールの国内最高峰「リーグH」の2シーズン目が6日、各地で開幕する。昨季3位のジークスター東京は、オープニングゲームで同2位のブレイヴキングス刈谷と対戦。敵地で、いきなりの難敵に挑む。チームは就任3季目を迎える佐藤智仁監督(40)の元、これまで鍛え上げてきた守備を土台とし、さらに進化。個性あふれるプロ集団“シン・ジーク”が、悲願の初優勝へ突っ走る。

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世界を相手に、“シン・ジーク”の3つの片りんを見せた。8月19日、東京・代々木第一体育館。フランスリーグ11連覇中のパリ・サンジェルマン(パリSG)を、あと1歩まで追い詰めた。35-36で惜敗も、出足鋭い速攻で、体格に勝る強豪を苦しめた。主将玉川裕康(30)が右肩手術明け、副将部井久アダム勇樹(26)が右脇腹の肉離れと、攻守の要のパリ五輪日本代表コンビを欠きながら肉薄。もう1人の副将である小山哲也(31)は「サイズで勝てなくても走り負けない。やってきたことを出せた」と、シーズン開幕へ手応えを得た。

佐藤監督は今季の目標に、この速攻で「得点全体の33%」を挙げることを掲げる。「昨季は20%台。野性的な攻撃的な選手が多いのにダイナミックな速攻が出し切れなかった」。反省を糧に、守備から攻撃へのスピーディーな切り替えでフランス王者を揺さぶった。

“切り替え力”を支えるのが“徹底力”だ。ドイツでのコーチング経験も持つ同監督は、ここまでの2年間、メンバー22人中14人が日本代表を経験するタレント軍団に、細部へのこだわりを植え付けてきた。軸に据えたのは守備。1対1の局面で、もう1歩体を寄せられるか。利き腕の手首のより近い位置へ、プレッシャーをかけられるか。意識改革は数字に表れ、昨季レギュラーシーズンの平均失点は前季から2・8点減少(28・3→25・5)。パリSG戦でも、このこだわりが反攻の基点になった。部井久は「仲間がシュートを打ったら、それ以外の(コートプレーヤー)5人全員が全力で自陣に帰っているか。ルーズボールに絶対飛び込んで、100%取れるか。細かい部分の徹底が本当に重要」と力を込める。

頂点に向けた戦術と意識の浸透は、若手とベテランのシナジーを加速させた。パリSG戦では、今春に筑波大を卒業した22歳のGK大山翔伍(22)が「海外に対してどれだけできるかを、少しだけ証明できた」と好セーブを連発。昨季リーグMVPで34歳の守護神、岩下祐太(34)の背中を追う。攻撃では、同戦の得点上位5人に20代、30代がバランス良く名を連ねた(5点:中村翼=25歳、橋本明雄=32歳、伊禮雅太=24歳、4点:細川智晃=30歳、元木博紀=33歳)。ここに台湾代表歴を持つ197センチのチャオ・シェンチャン(34)も新たに加入。豊田合成時代の20-21年シーズンにMVPに輝いた男を加えての“融合力”も、大きな魅力だ。

パリSG戦後のロッカールーム。欧州の強豪相手の親善試合敗戦を、本気で悔しがる姿があった。小山は「ここを最低限として、上がっていくだけのシーズンにしたい」と魂を燃やす。切り替え、徹底、融合。初の頂点へ、リーグHを“シン・ジーク”が席巻する。【松本航】

 

◆ジークスター東京 18年に前身の東京トライスターズが創部。19年7月に日本リーグ準加盟。20年からジークスター東京として日本リーグ参戦。リーグH(日本リーグ含む)は過去3位が最高。ホーム戦は主にアリーナ立川立飛、ひがしんアリーナ(墨田区)で開催。

◆リーグHとは 日本リーグを前身に生まれた1部制の新リーグで、男子14チーム、女子11チームで24年9月に開幕。リーグ創設初年度の昨季のジークスター東京は、20勝4分け2敗の勝ち点44で、レギュラーシーズン3位。上位6チームによるプレーオフは、準決勝で同2位の豊田合成名古屋に敗れた。豊田合成名古屋は同1位のブレイヴキングス刈谷を決勝で破り、日本リーグからの5連覇で、リーグH初代王者に輝いた。女子はブルーサクヤ鹿児島が頂点に立ち、10連覇中だった北国石川の時代に終止符を打った。