〈アーチェリー全日本選手権〉◇25日◇東京・夢の島公園アーチェリー場
アーチェリー五輪2大会メダリストの山本博(62=日体大教)が、前人未到の46度目の全日本選手権を82位で終えた。
記録は本人の予想を大きく下回る613点。予選通過ラインの32位に17点足りず「高校1年の頃の記録ですよ。悔しい。本当に悔しい」と、何度も首をかしげて言った。
卓球の伊藤(旧姓山泉)和子さんが2002年(平14)に達成した45度出場の大記録を超える46度目の全日本選手権の舞台。2週間前の練習で「トップ争いできる点数が出て、予選は8位以内で通過できる感覚があった」という。2004年以来通算9度目の優勝もイメージしていたが、ショットが安定しなかった。
「早くピークがきて練習しすぎたのかもしれない。今日は朝から少し筋肉が硬かった。いいスコアが2回続かなかった。いい点と悪い点が通常3、4点の範囲で収まるが、11点までひらいた。これを老いと言うのかなあ。昔はずっとピークが続いていたけど、肉体が昔とは違うことを自覚しないと」と振り返った。
1977年(昭52)に史上最年少の中学3年で初出場して以来足かけ49年。31日に63歳になる。16年に筋断裂した右肩を手術。20年に右手のしびれの原因だった胸郭出口症候群の手術。昨夏には右足にしびれが出て腰にもメスを入れた。目には老眼のコンタクトレンズが入っている。「遠くは見えるけど、目の前の的を狙うための照準器がよく見えなくなってきた。年を取ってプラスになっていることは何もない」と苦笑いを浮かべる。
それでも「今日の予選で同じ的を射った2人の選手は中高生の時に講習会で教えた子。一緒に打てるまで成長したのはうれしい半面、まだ彼らの前に昔のように立ちはだかっていたい」と闘争心は衰えていない。「自己流では体を壊してしまう」と、2年前からパーソナルジム通いも始めた。
46度出場という前人未到の記録について聞くと「出場記録よりも優勝したい」と即答した。今も目標は2つのメダル(84年ロサンゼルス銅、04年アテネ銀)を獲得している五輪出場。
「来年のナショナルチーム選考会に出場できれば、まだ(28年ロサンゼルス五輪に)間に合う。技術を上げれば肉体のハンディは超えられる。もう1度、日の丸をつけたい。こんなスコアで今季を終われない。年内、11月にもう1試合出場します。そこでいい点数を出して来年につなげたい」。47度目の全日本、そして世界へ向けた山本の戦いが、また始まった。【首藤正徳】