【競泳】元二刀流スイマー光永翔音が50mバタV「僕の分まで」センバツ出場の弟にエール

男子50メートルバタフライで優勝し喜ぶ光永(撮影・野上伸悟)

<競泳:日本選手権>◇第1日◇19日◇東京アクアティクスセンター◇男子50メートルバタフライ決勝

予選で日本記録に並ぶ23秒06をマークした光永翔音(中大2年)が、2位に100分の6秒差で競り勝ち栄冠を手にした。

日本記録保持者・田中大寛(キッコーマン)が棄権した中、予選を力強くトップで通過。「大きく泳ぐ意識がこの結果につながった」。故障しやすい右肩に負担がいかないように普段の陸上トレーニングから大きく動かすストロークを見直したことで、好記録を生んだ。「大学生のノリとか勢いを使わせてもらった」とも実感を込めた。

191センチ、85キロの体格に恵まれた。東京・日大豊山高では野球部にも所属。右投げ右打ちの好打者として3年夏には全国選手権東東京大会ベスト8入りにも貢献した。水泳部でも全国高校総体(インターハイ)に出場し、チームの総合優勝の立役者にもなった。

元二刀流スイマーとして注目を浴びたが、大学進学後は、水泳に専念。2028年ロサンゼルス五輪(オリンピック)を目指すことを表明していた。

高校までは「ポテンシャルだけでやってきた」。しかし、トップの学生や社会人とのレースで苦戦を強いられてきた。

「水泳への意識が変わった」。2年間は基礎を見直した。水泳部のマネジャーに泳ぎのフォームを動画撮影してもらうなど一から己と向き合ってきた。

さらに今月開催された野球の世界一を決めるWBCでは中大OBの森下翔太外野手(阪神)の本塁打を中継を見て、刺激にも変えてきた。「僕も水泳を頑張ってトップ選手になれば会えるかなって思った」。

大舞台で確かな結果を残した。2年間の苦難を振り返った後、「努力って報われるんだなって感じた。自分を褒めたい」とはにかんだ。

舞台は違えど、兄弟で挑む春でもある。

弟惺音は山梨学院高の捕手として春のセンバツに出場中。22日には長崎日大との初戦を迎える。自身が届かなかった甲子園の土を踏む弟には「ノーエラーでヒット1本打ってくれれば。出られなかった僕の分までたのしんでもらえたら」とエールを送る。

兄も同日に100メートルバタフライで2冠が懸かる。「自分の結果もだけど弟がとても気になっていて…。しっかり100メートルバタフライでも優勝して報告をしたい」。白球を追い、水路を泳ぐその背中が兄であることは変わらない。【泉光太郎】