19日開幕の愛知・名古屋アジア大会の卓球日本代表が17日、都内で練習を公開し、女子で世界ランク6位の早田ひな(26=日本生命)が競技哲学を語り尽くした。
熱を込めて話し始めたのは、“ジブリ鑑賞会”にハマっていること。ここ1カ月は左手首に力が入らない感覚に悩まされたと打ち明ける中、ジブリ映画を見る時間が息抜きとなっていた。「タイミングによって『この時はこう思わなかったけど、今は変わってきたな』と、年齢を重ねて感じることも変わってくる。ジブリは一生見るだろうなと。将来子どもが生まれたらジブリだけは見させたい」と熱弁した。
鑑賞会を通じて、自己の変化にも気が付いた。「昔は答えがあるものが好きだったけど、今は答えがないものについて『自分はこうだな』と落とし込んでいくのがすごく好き。本を読んだり、映画を見たり、海で波の音を聞いていたりすると、モヤモヤした感情が取っ払われて、自分がまとまった人間になったり。そういうのが楽しいなと思う」。答えのない問いに対し、自分なりに解釈を深めていく過程に喜びを感じている。
ここ最近で印象に残ったのは、23年公開の「君たちはどう生きるか」。宮崎駿氏が脚本・監督を務めた作品で「人間の複雑な心理状態や価値観の違い、理不尽な世の中で、自分がどうやって生きていきたいかを考えないといけないというメッセージだと捉えた」と、自身を律する大切さを学んだ。
これは現代社会にも通じる面があるとも受け取った。「例えばSNSの世界でもいろいろなことを言われる。その中で、何のために競技をしているのか、何のために頑張っているのか、そこだけを忘れずに頑張ることができれば、それだけで幸せなんじゃないのかと思えて、人間として成長させられました」と自身と重ね合わせた。
さらに「私の夢としては、宮崎駿さんに『これはこういう意味だった』と全部解説してほしい。でもそれをしてしまうと、もうそれが答えみたいになってしまって、それも違うかな」と持論を展開。「先入観を作らないためにも、宮崎さんはそういうことを言わないのかなと思ったり。そういうことを考えていたら夜も寝れなくなる。でもそういうことを考えている自分が、今は好きです」と笑顔でジブリ愛を語り尽くした。
あらゆる思案を巡らせる中、間もなくアジア大会を迎える。早田はシングルス、女子団体、張本美和との女子ダブルスの3種目に出場。勝敗やメダルといった“答え”のようなものがはっきりとする争いを前に「臨機応変に自分自身が何色にでも染まれるように準備していきたい」と自然体を強調する。
「落ち込んでいる自分も、うれしい自分も、ムカついている自分も、まるっと愛してあげたらそれでいいと思えるようになった。そこから自分が何をして生きていきたいのか、何を力に変えたいのか、自分軸で考えられるようになった。時と場合によっては自分がしたいことを貫く。自己中みたいなプレーも大事だなと思う。そういうバランスが良くなってきたと思います」
流されず、固執せず、でも時にはちょっとわがままに。自分なりに育んできた哲学を支えに、アジア舞台に乗り込む。