【競泳】「あ、世界新ギリ行ったな」金メダルの大橋信「北島さんと同じ道を歩めそうでうれしい」

男子200メートル平泳ぎ 世界新記録で金メダルを獲得し、声援に応える大橋信(撮影・鈴木みどり)

<愛知・名古屋アジア大会:競泳>◇24日◇東京アクアティクスセンター◇男子200メートル平泳ぎ決勝

競泳男子200メートル平泳ぎで大橋信(17=枚方SS)が世界新記録の2分4秒83を樹立して金メダルを獲得した。100メートルとの2冠を達成。平泳ぎで五輪2大会連続2冠の北島康介氏(44)も20歳だった02年釜山大会の同種目で初めて世界記録を更新し、2年後の04年アテネ五輪で王者となった。レジェンドより若くして、伝説ロードを歩み始めた。

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フィニッシュした大橋は会場のどよめきに気づいた。「あ、世界新ギリ行ったな」と確信した。電光掲示板の「WR」の文字が目に飛び込んだ。ワールドレコードだ。「ちょっと速すぎる…」と自分でも驚きのタイム。「すごくうれしかった。ラスト50メートルはあんまり練習でもできたことのない、いい泳ぎができた」。これまでの世界記録は23年に中国の覃海洋(タン・カイヨウ)が出した2分5秒48。全人類で初めての4秒台に突入した。

8月のパンパシフィック選手権(米アーバイン)でシニア国際大会デビュー。100メートルでは日本新記録で銀も、得意種目のはずの200メートルでは銅メダル。悔しかった。大会直前にコロナ感染もあったが、2大会目で世界に名前を売った。

レース前は不安もあった。「5秒台を出せばいい」という考えも浮かんだ。だが勝負のレースで結果を出し「自分が本当にバカらしく思えた」。一時弱気になった自身を思い出し、笑った。

24年前に「世界の北島」が誕生したアジア大会。大橋もレジェンドを意識していた。21日の100メートルで優勝後、「世界記録を出さないとそのルートには乗れない」と、北島氏のように記録を出すと宣言していた。「北島さんと同じ道を歩めそうでうれしい」と喜んだ。

北島氏から「小柄で持久力もあって、スピードもあって、魅力ある選手」と評価される28年ロサンゼルス五輪期待の星。「オリンピックで世界新というのを目標にやってきた。このタイミングで出せたのは、もっともっと上を目指して、オリンピックで絶対に勝つ力をつけろっていう意味だと思う。すごい自信になった」。新たな伝説が始まろうとしている。【保坂果那】

大橋信アラカルト

◆生まれ 2009年(平21)3月5日、大阪府枚方市。

◆競技歴 3歳から水泳を始める。

◆所属 枚方SS。学校は四條畷学園高に通う。

◆サイズ 169センチ、64キロ。

◆自己ベスト 平泳ぎの50メートルは26秒98(日本高校記録)、100メートルは58秒54(日本記録)、200メートルは2分4秒83(世界記録)。

◆アジア大会 今大会が初出場。平泳ぎ100メートルと200メートルで金メダル、400メートルメドレーリレー銀メダル、混合400メートルメドレーリレー銀メダルで24日時点で4個獲得。

◆世界記録のご褒美は? 「(同い年の小島)夢貴たちと26日に焼き肉に行こうかな」

◆コーチ評 指導する太田伸コーチは「研究熱心。教えたことがない」「水泳が好きな携帯電話が好きなどこにでもいる高校生」とコメント。

 

◇北島康介氏とアジア大会の世界新記録 02年10月の釜山アジア大会男子200メートル平泳ぎで、自身初となる2分9秒97の世界新記録を樹立。世界の主役に踊り出ると、翌03年7月の世界選手権(バルセロナ)では100、200メートルの2種目とも世界新記録で金メダルを獲得。04年アテネ五輪では両種目金メダル、08年北京五輪でも前人未踏の2大会連続2冠を達成した。まさにアジア大会での世界記録が伝説の始まりとなった。