【ソフトボール】中国代表コーチに「女イチロー」山田恵里さん「日本を超えていけたら」打撃強化

ソフトボール山田恵里氏(2021年7月15日代表撮影)

<愛知・名古屋アジア大会ソフトボール:日本7-0中国>◇3日◇決勝◇デンソーブライトペガサススタジアム

日本が前人未到の7連覇を達成した。前日2日の予選ラウンド最終戦の全勝対決で、サヨナラ勝ちしていた中国と再戦。5回コールド勝ちを収めた。9月26日のフィリピン戦から無傷の8連勝でアジアの頂を守った。

一方で1998年バンコク大会までの3連覇以来、日本に戴冠を許してきた中国。7大会ぶり4度目のアジア制覇を逃した中で、代表コーチには、あの日本人レジェンドがいた。

21年東京オリンピック(五輪)日本代表の山田恵里氏(42)だ。試合後、日本メディアの取材に応じた。

2日の全勝同士の対決となった予選ラウンドでは6-7と、日本をあと一歩まで追い込んだ。しかし、迎えたファイナルは日本左腕の後藤希友に5回2安打無失点と抑え込まれた。

かつては自身も国を背負ってプレーした日本の7連覇を止められず「昨日の予選ではいい試合ができたと思うけど、やはり、決勝になった時に、力の差が出てしまった」と結果を受け入れた。

五輪では銅だった04年アテネ大会から上野由岐子らとプレーし、08年北京、21年東京では日本の2連覇にも貢献してきた。巧みなバットコントロールで安打を量産する様は「女イチロー」と呼ばれた。

22年に現役引退後、指導者の道を志した。

大学院にも通い、米ミシシッピ大での指導の機会にも恵まれた。今年6月に中国代表チームのアシスタントコーチに就任。打撃強化を進めてきた。

日本の選手からも「打撃フォームが似ている」と話題になるほど、自身の打撃ノウハウを中国選手に浸透させてきた。

「一人ひとりやっぱり、個性もありますし、打ち方も違うんですけれども、打つべきポイントは共通している部分が誰にでもある。良いところを伸ばしつつ、自分の経験してきたことを伝えていけたら」

悔しい銀とはいえ、日本に2連敗するまで予選ラウンドで6連勝してきた中国の数字は驚異的だった。

8試合を戦った今大会のチーム打率は日本に次ぐ2位の4割3分9厘。だが、安打数は日本を9本上回る87本だった。さらに本塁打数は15本と打ちまくっていた。

日本が誇る安打製造機による指導は、短期間とはいえ、大きな実を結んでいたのかもしれない。

今回の準優勝の結果にも手応えをつかんでいた。

「来年のオリンピック予選に向けて強化していく必要があると思っている。やはり、バッターがどれだけ点数を取れるかが、中国が勝つためには必要なことだと思っている。そこの強化をしっかりとしていけたらなと」

2日の予選では元同僚の上野が登板。グラウンドレベルでその投球を見ていた山田氏は、元打者の血も騒いだという。

「もう1回、打席に立ちたいなって正直思ったぐらいボールの切れだったり、速さはすごくあった。本当に年齢を感じさせない、何歳まででも投げられそうだなっていう印象はあった」

かつて世界一を分かち合ったが、今は日本と対峙(たいじ)する立場だ。

「勝負している以上、1番は目指したいと思っている。そのお手本に日本というチームがあるので、そこを勉強しながら超えていけたらいいな」

世界の頂を極めた経験値を、国内だけでなく、世界にも還元していく。それもまた、ソフトボール日本の使命なのかもしれない。【泉光太郎】