愛知・名古屋アジア大会では、参加45カ国・地域の目が日本に注がれた。相次ぐ運営トラブルや中国企業の台頭から、日本の相対的な国力低下を指摘する声が出る一方、取材した各国メディアからは、経費削減型の開催を「持続可能」とみる肯定的な捉え方や、日本の人々の優しさに救われたといった称賛もあった。
「名古屋は準備ができていない」。競技会場を結ぶバスが来ず足止めを食った台湾メディアの記者は、あきれ顔だった。
前回杭州大会の豪華な設備やスタッフ動員力との比較で見劣りも指摘され、中国メディアは日本の経済力や人口減と絡め自国優位を強調した。大会スタッフの公式ウエアは中国メーカーが提供。大会の国際放送などにも中国企業が携わり、存在感を示した。
韓国紙ハンギョレのベテラン運動記者金昌金さん(60)は、国威発揚の色彩が濃い中国開催とは異なり「既に世界に知られた日本は、アジア大会で世界に宣伝する必要はないでしょう」と指摘。「国の威信」まで懸けない限られた運営の中、選手や取材陣には多くの不便が生じたと分析した。
ヨルダン出身でイタリア在住のスポーツジャーナリスト、ナディン・ハッサンさん(32)は、不便さはあったが「世界で物価が高騰する中、既存のインフラで人々をもてなしたのは持続可能な解決策だ」と評価した。
インドメディアによると、同国選手らは「あいさつや謝意を伝える時は一礼を」「公共の場では静かに」など日本の公衆マナーを学んで来日したという。インドの女性記者(37)は「街は整然とし、きれいで安全。人々は規律正しく親切だった」と振り返った。
一方、大会関連イベントに朝鮮出兵を命じた豊臣秀吉の演者が登場し韓国が反発した問題を、欧米メディアは「(出兵は)朝鮮史の重大な出来事だ」と伝え、参加国の歴史や文化への配慮不足を暗に批判した。