スポーツクライミングの今季最終戦として、日本で2年連続開催となる「ワールドクライミング グランドフィナーレ 福岡 2026」が今週5~8日、飯塚市の筑豊緑地公園で行われる。
昨年も同所で「クライミング グランドファイナルズ」として初実施され、今年は新装。男女、個人と団体、パラ競技との垣根を越えた日本初「健常者との一体開催」で注目された総合大会が、進化して帰ってくる。
パラは、昨年のエキシビションからワールドクライミング・パラシリーズ(旧ワールドカップ)に今年は格上げ。最終の第5戦として、リード種目のシリーズ世界王者を決める大一番となった。
真剣勝負はもちろん、大会の大きな特長はオリンピック(五輪)競技のスポーツクライミングとパラクライミングが、同じ会場、同じ日程で行われることにある。今年4月、日本パラクライミング協会(JPCA)の新たな代表理事に就任した平間伸爾氏(63)も、準備に余念がない。国が掲げる共生社会の実現、世界が望む理想の姿を体現する大会を目指している。
「2028年のロサンゼルス・パラリンピックからクライミングも正式競技に採用されます。一方で、五輪や愛知・名古屋アジア大会、同パラ大会のように、オリとパラの競技は、会場や日程を含めて別々に開催されることが一般的です。しかし、この大会では同じ壁を使って、同じ大会期間内に競い合う。国を挙げて共生社会の実現を目指している中、欧米中心に盛り上がっているパラクライミングのトップクラス大会を、ここ日本に初めて持ってこられたことに、大きな意味があると思っています」
健常者と同じウォールを舞台にしたことで、パラのアスリート能力も際立ち、観客にとってもクライミングの多様な魅力に触れる機会となる。平間氏は言う。
「まだパラクライミングは多くの人に知られているとは言えません。大きな国際大会やパラリンピックでは瞬間的に注目されてきましたが、普段の大会、地域の取り組みが広く伝わる機会は限られています。だからこそ今回、世界シリーズが開催される飯塚を、地方から、より競技を認知してもらう場所にしたい。発信したい。実際に会場で選手の姿を見たり、クライミングを体験したりすることで競技との距離が縮まれば」
日本パラクライミングのレベルは、高い。視覚障害で最も重いB1(全盲)クラスでは、男子の會田祥(三井住友海上あいおい生命)が世界王者に君臨する。昨年の世界選手権で念願の初優勝を飾った女子の青木宏美(VML&Ogilvy Japan)も、今年のワールドクライミング・パラシリーズ第1戦ソルトレークシティー大会(米国)を制している。
その第一人者たちが集結する福岡・飯塚。平間氏は「パラも、オリも、ものすごく高いレベルで日本のクライミングは推移しています。パラで言えば、昨年の世界選手権で男女合わせて10個のメダルを獲得しているんです。2年後のロスでも確実にメダルを取ってきてくれるだろう會田選手や青木選手も今回、飯塚に来ます。ぜひ世界のトップクライミングを見ていただければと思っています」
昨年は、旧W杯の最終戦が海外で行われている最中だったため、参加14選手のエキシビションにとどまった。しかし今年は、一気に各国から200人を超える選手を受け入れる。
福岡県内も気運が高まりつつある。パラクライマーが企業広告に起用され、競技を知ってもらい、魅力を地域に根付かせる動きが広がっている。
飯塚市に隣接する田川市の出身で、今大会にも出場する二橋真音衣(まとい)が西鉄グループの2026年度CM「ひらけ、可能性。」編に出演中。現在、久留米大1年の19歳で、スポーツ医科学を学びながら活躍する。
高校1年の夏にパラクライミングを始め、わずか2年で世界トップクラスの選手に。昨年の世界選手権で銅メダルに輝いた新鋭の勇姿も見られる。
平間氏は「地元の選手、身近な場所。そこで大会が開催されるという情報を、ぜひ露出していただいて『パラクライミングというスポーツもあるんだな』と改めて認知していただければありがたいです。大企業さんともコンタクトを取りながら、全ては競技普及のためにしっかりと準備して、皆さまにお目にかかれる日を迎えたいと思います」と開幕を心待ちにした。
パラクライミングは5日に予選、翌6日に決勝が実施される。【木下淳】
■大会名称 ワールドクライミンググランドフィナーレ福岡 2026(World Climbing Nations Grand Finale FUKUOKA 2026/World Climbing Para Series FUKUOKA 2026)
■日程 2026年11月5日(木)~8日(日)
□5日(木)午前9時~パラクライミング予選
□6日(金)午前10時~パラクライミング決勝
□7日(土)午前9時30分~チームボルダー予選、午後2時30分~決勝
□8日(日)午前9時30分~チームリード予選、午後3時~決勝、午後7時~クロージングバンケット
※7、8日は予選と決勝が入れ替え制、それぞれチケットが必要
■会場 筑豊緑地公園/いいづかスポーツ・リゾートザ・リトリート(福岡県飯塚市仁保8の37)