【スポクラ】緒方良行、安楽宙斗を語る「旧W杯で6戦5勝…本当に弱点がない」今年も現地で解説

ワールドクライミング・グランドフィナーレ福岡2026の現地解説を務めている緒方良行。大会公式キャップをかぶって笑顔(撮影・木下淳)

<ワールドクライミング:グランドフィナーレ福岡2026>◇7日◇最終日◇飯塚市・筑豊緑地公園◇チームボルダー決勝

スポーツクライミングの今季最終戦として日本で2年連続開催されている、世界最初の男女混合団体・国別対抗戦の「ネーションズ・グランドフィナーレ」が開幕した。

ボルダーでワールドカップ(W杯=現ワールドシリーズ)2年連続総合優勝を誇る、世界のトップクライマー緒方良行(28)が今大会も現地解説。地元福岡県の久留米市出身で「くるめふるさと大使」を務める第一人者に、大会の魅力や展望を聞いた。【聞き手=木下淳】

-注目は、やはり2024年パリ五輪(オリンピック)複合男子の銀メダリスト、今年の愛知・名古屋アジア大会では2連覇した安楽宙斗(19=JSOL)です。2年連続で参戦。彼のすごさは

緒方「ボルダーって、傾斜が90度から、大きな時は160度ぐらいまで強い傾斜になってり、いろいろコースがあるんですけど、さまざまな動きに対応しないといけないので、本来だったら大会によって優勝者が変わるものなんです。チャンピオンの入れ替わりが当たり前に起こる種目なんですけど、安楽選手のすごいところは本当に弱点がないところ。今年のW杯…今の名称はワールドシリーズですね、それで言うと、今年は6大会中5大会で優勝していますから。本当に、メンタル的にもすごく強いです」

-ボルダーには、そのような特徴、傾向があるものなのか

緒方「はい。本当にいろいろな要素があって。めちゃくちゃうまくても、会場によって、コースによっては、調子までいいのに負けてしまうこともあります。ただ、その中でも失敗が限りなく少ない選手です」

-緒方選手も、W杯の年間総合優勝を2年連続で成し遂げたスター。自身との比較では

緒方「自分は、フィジカルやパワーみたいなものを武器にしています。例えば練習だと、制限時間のない中で1時間とか2時間とか打ち込んで、すごく難しい課題を完登するという練習方法もあって、そういうものは僕の方が得意だったかなと思います。ただ、本当に5分間の中で、難易度に差はありながらも、とにかく失敗しないところが安楽選手の一番の魅力、強みだと思います」

-パリ五輪、杭州と愛知・名古屋のアジア大会でメダルを獲得した選手が、日本に帰ってくる。国内のファンや、まだクライミングを知らない人たちの前でプレーする意義は

緒方「宙斗選手のすごさというか強さは、皆さん知っていると思いますけど、やはり直接、登りを見る機会って、なかなかないと思うんです。普段は海外転戦が多い競技ですし。そういう意味では、ファンやクライマーに限らず、一般の方々にも、すごいチャンスだということはお伝えしたいので、ぜひ会場に来て楽しんでください。

-競技自体の魅力は

「やっぱり、飽きないところがいいかなと自分は思います。コースがいろいろと人によって選べますし、全然、経験したことのない方でも登れるコースがあったりします。クリアできたら、じゃあ次、別のレベルというふうに行けますし、同じレベルでも、違うタイプのコースにトライしたりとか、飽きないところは面白さかな。

登っている時、以外でも交流しているイメージがある

緒方「まさに、僕が好きなところはそこです。クライミングジムに行くと、お客さん同士でコミュニケーションがあったりするんです。僕らは、それを「セッション」と言って、同じようなレベルの選手同士、クライマー同士で1つのコースを一緒にやったり、多様な楽しみ方があります。

-福岡・飯塚大会の盛り上がりは

「もちろん、実際のところで言えば、本場である海外大会の方が盛り上がりは大きいです。たた、去年の大会も現地で見ていて、今年もありましたが「いいな」と思ったのは、地元の小学生の子たちが社会見学的な感じで来てくれたり、クライミングというものに触れ合う機会がなかなかない中で、地元の子たちが体験会に参加してくれたり。直接、知ってもらえる機会があったことは、すごく良かったなと思います」

-発祥の米国や、スタンドが超満員になるなど人気の欧州。雰囲気は

緒方「これは、クライミングの発祥国の方が、スポーツとして、というより、もう本当に文化となっている実感です。アメリカもヨーロッパもそうなんですけど、仕事に行く前にちょっとだけ登って、クライミングして、軽く汗をかいてから仕事に行くとか、結構、レジャー的にやってる人口が多いんです。そもそも、クライマーの数、クライミングを知っている人の割合が、当然ながら欧米の方が多いですから。

-その状況下、この「グランドフィナーレ福岡」を契機に、日本でも普及させていくためには

緒方「まずは大会を盛り上げて、さらに裾野を広げる意味では、先ほどもお話ししたみたいな、今までクライミングを見たことがない小学生や、もちろん小学生に限らずなんですけど、初めての方に触れ合ってもらえるような機会を提供して行ければ。21年の東京オリンピックを機に、一気にクライミングジムが増えた印象もありますし、既に日本は世界ランキングがボルダー、リードともに1位です。正直、自分は運動神経が良くなかったと思っているんですけど、それでも(W杯の年間総合優勝を2年連続で達成するなど)一定のレベルにもなれるし、初心者から楽しめる。選手たちもSNSで発信したりしていますが、とにかく新しいスポーツだからこそ、これからも発信していくことが重要かなと思います」

-最後に、翌日のリード種目に向けて

「ボルダーと違い、今度は命綱を着けて12メートルの高さの壁を登っていきます。「落ちたらいけない」という緊張感だったり、クライマーの粘り。執念で壁に張りついている姿など、見どころになってくるかなと思います。最終日、ぜひ世界トップクラスのトライを見に来てください!」

■大会名称 ワールドクライミンググランドフィナーレ福岡 2026

■日程 2026年11月5日(木)~8日(日)

□5日(木)パラクライミング予選

□6日(金)パラクライミング決勝

□7日(土)チームボルダー予選/決勝

□8日(日)午前9時30分~チームリード予選、午後3時~決勝、午後7時~クロージングバンケット

※7、8日の予選と決勝は入れ替え制で、それぞれチケットが必要(イープラスで発売中)

■会場 筑豊緑地公園/いいづかスポーツ・リゾートザ・リトリート(福岡県飯塚市仁保8の37)