【復刻連載5】中山律子さん、宣伝マンと結婚に「これでボウリングは終わり」の声も出産後も投げた

笑顔をみせる中山律子さん 「さわやか律子さん」でテレビCMでも人気を博す(1971年4月撮影)

日本プロボウリング協会は7日、元プロボウラーの中山律子さんが死去したと発表した。84歳。ここ数年は病気で療養していた。

中山さんは1969年に女子プロ第1期生としてデビュー。70年にはテレ生中継で女子プロ初のパーフェクトゲームを達成し、71年には「さわやか律子さん」のテレビCMで全国的な人気を博すなど、日本に一大ボウリングブームを巻き起こした。

日刊スポーツではかつて「連載この道 500人の証言」と題して中山律子さんを特集していた。95年5月

24~28日に掲載した連載を再掲します。(年齢、肩書きは当時のまま。敬称略)

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証言 ボウリングジャーナリスト、松下忠氏(72)「71年(昭46)前後のボウリングブームは、社会風俗的なファッションだった。個人消費生活の潤沢さがレジャー志向を強めたのでしょう。ピンのはじけ飛ぶ音は、その欲求を満たす一つの手段でもあった」。

栄枯盛衰。

証言 プロ協会井本正忠理事「73年(昭48)夏からおかしくなり始めた。1レーンの純利益が一日1万5000円から一気に3分の1になった。石油ショックと乱立、無計画な経営で需給バランスが倒壊した」。

女子プロ界も変化した。元やり投げ選手の3期生・斎藤志乃ぶ(46)や、後の81年(昭56)全米クイーンズに優勝した4期生・杉本勝子(49)らが台頭した。

証言 400通算65勝で歴代1位の斎藤さん「花のトリオの人気をうらやましいとは思わなかった。私は日体大出身でしたから、化粧をしてスポーツをすることにも抵抗を感じたほどでした。だから自分はもっと泥くさく、実力だけで勝負しよう、と」。

競技は迫力を増したが、76年(昭51)までに、大会数は男女合わせて年わずか20、最盛期の8分の1に減った。中山が74年(昭49)11月28日に、ワーナーパイオニア宣伝課長の小田洋雄氏(52)と結婚した時、「これでボウリングは終わり」の声も出た。

証言 石井利枝さん「人気が衰退しても、辞めようなどという話は、中山さんとは一度もしなかった。1期生はお金ではなく、好きだからプロになった人たちだった」。

本当に強い者には、逆境は逆境ですらないのだろう。中山は77年(昭52)4月から産休に入り翌年1月、長女早苗ちゃんが誕生した。出産育児のハンディは黙って乗り越えた。79年(昭54)9月の「BWオープン」で出産後初V。通算30勝の大台だった。

証言401 プロ8期生だった毛塚清貳氏(50)「子供が泣いたらそこで練習は終わり。練習量が減ったのは事実です。しかし、彼女は初心者のやるようなスタート練習も熱心にこなしました。熱意に負け、プロを辞めて彼女の専属アドバイザーになりました」。

用具の変化も、ある意味では逆風だった。

証言402(株)日本ブランズウィック営業推進部長難波茂丸氏(57)「ボールの素材はラバーから、プラスチック、現在はウレタンに変化しました。ピンアクションが良く、レーンとの摩擦で回転が余計つくため、スコア自体ははるかに出しやすくなりました。ただ、ベテランほど、変化に対応するのが大変だったはずです」。

軸の左ヒザも悪化した。

証言 中山さん「いいといわれる治療はすべてやりました。引退より治療をいつも考えてました。足を引きながら試合に向かいました」。

85年(昭60)左ヒザを手術した。このままでは消えない、の決意だった。賞金ランク10位で5年ぶりのシードを得たのは87年(昭62)。94年(平6)12月のJLBCクィーンズオープンでベスト4に入賞した時はプロ全員が喜んだ。

証言403 最年少プロ、酒井美佳さん(20=日本ブランズウィック)「今の中山さんに、引かれます。カリスマ性と同時に、優しさにもあふれて、親切に指導してくれる」。

プロ協会大久保専務理事は言った。「星の下に生まれた女性だ。彼女が立ち上がると、自然に道ができた。これからもそうなんだ」。【特別取材班】

◆中山律子(なかやま・りつこ)1942年(昭17)10月12日、群馬県草津生まれ。4歳の時、鹿児島へ。県立鹿児島女子高時代はバレーボール部。卒業後、会社員生活を経て、69年(昭44)の第1回女子プロボウリングテストに合格。70年(昭45)8月月例の女子プロ初の公認パーフェクトのほか、第1、5回全日本女子プロなど通算33勝(歴代4位)。70年代にはライバル須田開代子らと社会現象ともいえる大ブームを巻き起こした。04年日本プロボウリング協会会長。12年から同名誉会長。17年殿堂入り。

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