ラグビー

“背骨”初戦露に全力を/キヤノンHCクッツェー氏

<TLの名将が見た日本代表(3)>

トップリーグ(TL)で指揮する海外出身の名将が独自の目線で日本代表、ワールドカップ(W杯)について語るシリーズ第3回はキヤノンのアリスター・クッツェー・ヘッドコーチ(HC=56)です。15年から1年間神戸製鋼を指揮した前南アフリカ代表監督は、今季がTL通算3季目。勝利を目指す戦いの軸になる「背骨」と、初戦の9月20日ロシア戦に全力を注ぐ重要性を説きました。

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青々とした天然芝が映える東京・町田市のラグビー場。前南アフリカ代表監督のクッツェー氏は、ここでTL通算3季目を迎える。ラグビー大国から日本に戻り「代表への期待値の高さが、ネガティブな重圧になっていないのが日本のいいところ」と笑う。世界の厳しさを知る将が重要視するのは「背骨」だ。

笑顔を見せるアリスター・クッツェー・ヘッドコーチ(撮影・松本航)
笑顔を見せるアリスター・クッツェー・ヘッドコーチ(撮影・松本航)

クッツェー氏 W杯で勝つためには、チームとして戦うのが第一。その上で他のポジションより判断が必要になるのが「背骨」の選手たちです。2番(フッカー)5番(ロック)8番(NO8)10番(SO)12番(CTB)15番(FB)。W杯では最も美しい、華麗なラグビーでなくても、勝つことが求められる。トライが生まれない、9-3のスコアでも勝つことです。

フッカーやNO8の存在はもちろん、右ロック(5番)にはセットプレーからの2回目の防御で、相手の陣形を見て接点の手前にとどまるのか、奥のスペースを埋めるかの判断が必要になる。BKでは日本代表ジョセフHCが司令塔のSO1番手に田村優(30=キヤノン)を据えている。自軍の田村に対し、クッツェー氏は意外な才能を挙げる。

クッツェー氏 あまり脚光を浴びていませんが、優の強みはコミュニケーション力。例えばキックパスは彼の武器の1つですが、ボールを動かして陣形を崩しながら、常に仲間と意思疎通している。偶然(WTBの前が)空いているから、蹴っているわけではない。後は劣勢の時に「ここが良くない。こうしよう」とはっきり口にできる。このような選手は非常に大切です。

TLの他チームにも「背骨」を担う才能豊かな選手が目につくという。CTB梶村祐介(23=サントリー)や、15-16年シーズンに神戸製鋼で指導したFB山中亮平(30)もその1人。

クッツェー氏 梶村は昨季とても良かった。非常に優秀な若手で感銘を受けました。山中はスペースを与えた方が、いいプレーができる。(昨季転向した)FBは(判断の)時間とスペースがあるので。仕掛けるスピードはSOの時から秀逸でした。キックが左足なのは、チームにとっても強み。そして何よりも明らかなのは、若い時と比べてミスが減ったことでしょう。

クッツェー氏は個人名を出しながらも、終始「W杯メンバー31人全員の一体感が最も重要」と説いた。取材の最後には代表を応援する周囲が、少し忘れがちな点に触れた。現在、英国でクリケットW杯を戦う南アフリカ代表(世界ランク3位)を例に助言を送った。

クッツェー氏 クリケットの南アは初戦でイングランド(同1位)に敗れ、2戦目でバングラデシュ(同7位)にまで負けてしまった。初戦を勝つことで、より大きなモメンタム(勢い)を作ることができる。ラグビーも日本代表(世界ランク11位)や周りが、W杯2戦目のアイルランド(同3位)や最終第4戦のスコットランド(同7位)を考える空気では危ない。私がロシア(同20位)の監督ならその隙を全力で狙います。日本がロシアに勝てなければ、次はない。(頭は)とにかく「ロシア」です。【松本航】

◆アリスター・クッツェー 1963年5月23日、南アフリカ・グラハムズタウン生まれ。現役時代はSH。南アフリカ代表アシスタントコーチだった07年W杯で優勝。スーパーラグビー「ストーマーズ」を率いた12年に同国最優秀コーチ賞。15年から神戸製鋼HCを務め、16年から2年間は南アフリカ代表監督。18年にキヤノンHCへ就任。

ラグビーW杯日本大会開幕は9月20日。いよいよカウントダウンに入ります。日刊スポーツ新聞社では開幕まで1年間。「ラグビーW杯がやってくる」と題して連載します。会場、選手のこだわり等、あらゆる角度から1年間、ラグビーを掘り下げます。

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