日本代表候補「ウルフパック」がスーパーラグビー、レベルズの下部チームに39-12で勝利し、3月末からの強化試合を5連勝(1敗)で締めくくった。日本代表も率いるジョセフ・ヘッドコーチ(49)は各ポジションの代表争いを高く評価。現在約60人いる代表候補選手を6月の代表合宿(宮崎)で40人程度に絞り込む方針だ。セレクションから本格的な強化へ。史上初の8強入りを目指すワールドカップ(W杯)に向け、準備は次の段階に入っていく。

代表を争う選手たちが、競い合うように存在をアピールした。ほぼ敵陣で試合を進め、序盤からリードを奪うと、見せ場は後半31分。右サイドをWTB松島が抜け出し、流れるようなパスワークで左に展開。最後は大きく空いたスペースをWTB福岡が走り切り、日本の武器であるスピードで翻弄(ほんろう)した。

16年9月の就任後、ことあるごとに選手層の薄さを課題に挙げてきたジョセフHCも、チームの成長に手応え。松田、徳永ら若手の名前を挙げ「すべてのポジションで選手を育成できた。争いが激化し、初めて層の厚さをもたらすことができた。この層の厚さが成功への鍵になる」と充実の表情で遠征を総括した。

W杯開幕まで残り4カ月。指揮官が描く第1段階の準備が完了した。2月から代表候補選手を集め、国内で約8週間の合宿を実施。CTB中村、SH茂野ら一部の選手にはスーパーラグビー(SR)の日本チーム「サンウルブズ」で経験を積ませ、国内合宿ではパス、タックルなどの基礎技術、フィットネス、フィジカルを一から見つめ直した。

3月末からは代表候補を「ウルフパック」としてチーム編成。サンウルブズとの2チーム同時強化策で、約60人の選手にアピールの場を与えた。出場機会の増えたFB山中がSRでも通用する動きを見せれば、ウルフパックでは、代表主力格のFB松島をWTB、CTBトゥポウをFBで起用。各選手に複数のポジションでのプレーを求め、競争も激化した。プロップ具が「毎日緊張していた」と話すなど、ライバルを意識した日々の中で、しのぎを削ってきた。

約40人に絞り込まれる6月の宮崎合宿ではセットプレーなど、本大会をより意識したチーム作りが始まる。恥骨の炎症で別調整中のリーチ主将も「土台は出来てきた。誰かがけがをすればそれをカバーする選手がそろった」と語る。日本代表が、手応えの中、次のステージに入っていく。