WTB松島幸太朗(26=サントリー)は仕事をさせてもらえなかった。これまで大会最多の5トライを挙げていたが、この日は無得点。

激しく、そして出足の早い南アフリカのディフェンスにチャンスの芽をつぶされた。

松島は「悔しい気持ちもありましたけど、やっとおわったほっとした気持ちもある。もうちょっとやりたい気持ちもありました」。いろいろな感情が渦巻いた。「最後、負けると分かっていても、みなさんの声がすごく届いた。最後のディフェンスも力が入った」とファンの声援に感謝した。

初の決勝トーナメントだった。4年前に金星を挙げた南アフリカは、日本に本気でぶつかってきた。松島は「南アフリカのディフェンスがすごいプレッシャーをかけてきて、あと1つというところで、なかなかボールが出なかったことが、今日ずっと多かった。まるで自分のサインプレーが相手に分かっているかのようなディフェンスだった。プレッシャーを受け、自分たちのテンポに持ち込むことができなかった」。その高い壁を感じた。

日本は初の8強に進んだ。歴史を塗り替えた。松島「まず目標にしていたベスト8、1位通過をして、自分たちの自信にもつながった。ベスト8は日本代表として初めて。そこを経験できたのは、これからの代表にとっていい経験になったのかなと思う」。とはいえ満足はない。これからはもっと上を目指す。「今のスタンダードをしっかり保ち、もっとできることがたくさんと思う。この先の絶対にテストマッチでもスタンダードを下げず、今の自分達のマインドセット、スキルセットを落とさないようにしていかないといけない」と力を込めた。